マイクロホンを識る
風防/ウインドスクリーン
マイクロホンの扱いに慣れていない人は、つい口を近づけすぎたり、吹いてしまう(パ行音やほかの破裂音を出すときなどに強く息を吹きかける)ことが多いため、特にライブのボーカル用には、基本構造で何らかの「吹かれ」(ポップノイズ)対策が施されています。
断面図を見てみましょう。下のサンプルには「ポップフィルター」として薄いスポンジが、ヘッドケースの裏側に貼り付けてあるのがわかります。しかし、野外ではもっと強い風に吹かれてしまい、狙った音を録りにくい状況が頻繁にあります。そこで登場するのが風防、ウインドスクリーンです。通常は、マイクロホンに標準装備されているスポンジの帽子状のものをヘッドケースに被せればOKです。
高域特性が若干損なわれる場合があるものの、装着しておけば風雑音を少なくすることができます。何よりも吹かれてしまっては音になりません。1990年代以来、スタジオでのボーカル録音用には丸い独立したウインドスクリーンが定番となっています。これは、一般認知のきっかけとなったビデオの名称から「ウィ・アー・ザ・ワールド」型とも呼ばれ、さらに別名「金魚すくい」型との呼称もありました。これを使うことにより、構造上ポップノイズが苦手のコンデンサー型マイクロホンも、より歌い手の近くに置けるようになり、マイクアレンジの自由度が拡がっています。現在では、ほとんどの録音スタジオに必ず用意されています。
スポーツ中継のように「超指向性」を野外で使う場合には、マイクロホン全体を大きく覆う形のものが使われます。これはマイクユニットの周りに整流層(空気の流れの穏やかな空間)を確保して、音を少しでも明瞭に捉えるためのもの。さらに、この上から被せるアクセサリーもあります。毛足の長い特殊な繊維構造で、風だけでなく雨の音などもおさえる働きをしてくれます。特に、ゴルフ中継には欠かせないアクセサリーです。