地球は音楽なしでは動けない。地球は一定のリズム、サウンド、旋律で動く。音楽が止まれば、地球も止まり、地球上にあるものはすべて死ぬ。-サン・ラー
1993年に他界したサン・ラーは、超現実的宇宙音楽の創造者。アヴァンギャルド・フリー・ジャズの音源を大量に発表し、その数があまりにも膨大なため、未だ誰も彼が創り出した音楽世界の全貌を把握できていない。そんなサン・ラーが脚本、音楽、主演をつとめた漆黒の革新的SF映画『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』が2021年1月、発表から半世紀を経て日本で初公開される。
本作は、ミュージカル、SFオペラ、社会評論を組み合わせた、まったく新しい映画体験をもたらす。クエンティン・タランティーノ等に影響を与えた“ブラックスプロイテーション(=Blaxploitation/1970年代前半にアメリカで生まれた映画のジャンル)”の重要な作品と呼ぶ人もいる。
太陽神の姿で出現した土星からの使者、超現実的宇宙音楽王サン・ラーが、地球人に鳴らす警鐘。世界は終わったと、まだ気がついていないみなさまへ。
この映画は、サン・ラーの鋭い精神状態を視覚的に表したものだ。常に晴れて活気のあるカリフォルニアは、サン・ラーの予言的使命の装置として機能。ここでは何でも可能であり、社会的ユートピアの夢がスクリーン上に浸透している。つまり、「音楽は当時の政治的希望であり、人種的抑圧からの解放を反映した銀河間の兵器」という世界観の映像化を実現。これは映画的で哲学的な若さの源であり、依然として重要な意味を放つ、時代を超えた傑作である。
予告編では、インターギャラクティック・ミス・サイエンス・ソーラー・アーケストラ(銀河間神話科学太陽系アーケストラ)のジューン・タイソンによる美しい歌声で”宇宙時代を生きている”という言葉が響きわたる。
この度、上映されるのは地球上に残されていた唯一の35mmプリントからスキャン、史上初めてオリジナルの画面サイズであるスタンダードサイズ(1:1.33)で作られたデジタル素材となっている。オリジナルのフィルムの状態を最大限再現するため、一切レストアされていない。この貴重な上映をぜひお見逃しなく!
INFORMATION
『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』
原題:SPACE IS THE PLACE(宇宙こそ我が故郷)
キングレコード提供/ビーズインターナショナル配給
© A North American Star System Production / Rapid Eye Movies
監督:ジョン・コニー
脚本:ジョシュア・スミス、サン・ラー
製作:ジム・ニューマン
撮影:セス・ヒル、パット・ライリー
音楽:サン・ラー
音:ロバート・グレイヴノア、デヴィッド・マクミラン、アーサー・ロチェスター、ケン・ヘラー
編集:バーバラ・ポクラス、フランク・ナメイ
出演:サン・ラー、レイ・ジョンソン、クリストファー・ブルックス、バーバラ・デロニー、エリカ・レダー 他
THE INTERGALACTIC MYTH-SCIENCE SOLAR ARKESTRA
Sun Ra/John Gilmore/Danny Davis/Larry Northington/Kwame Hadi/Ken Moshesh
June Tyson/Marshall Allen/Eloe Omoe/Danny Thompson/Lex Humphries/Tommy Hunter
2021年1月29日(金)より、アップリンク吉祥寺・新宿シネマカリテにて、
シネマート心斎橋・名古屋シネマテーク・アップリンク京都ほか順次公開