アートカルチャーの発信拠点のひとつとして東京・青山に根を下ろしていたSKWAT(スクワット)。同施設の亀有への移転が発表されてから1年と少しが経った2024年11月2日、SKWAT KAMEARI ART CENTER (以下、SKAC)という新たな名前が冠され、その全貌が明らかになった。もうすでに足を運んだ方も多いかもしれないが、今回はSKACにあるレコード店、Vinyl Delivery Service(以下、VDS)、アートブック専門のディストリビューター、twelvebooks、そして、この場所を訪れる誰もを招き入れるオープンマインドなコーヒーショップ、tawks(トークス)が織りなす空間が亀有の町で交差する人びとの摩擦によってどのように埋められていくのか、VDSのファウンダー兼ディレクターである関塚林太郎さんに話を聞いた。

都市の隙間を占拠し、新たな発信拠点に

まずSKACの背景について、できるだけ短めにおさらいしよう。SKACは、空間設計を主軸とするDAIKEI MILLSを立ち上げた中村圭佑氏(以下、Kさん)が領域横断的に空間を越境するプロジェクト、SKWATの延長線上にある。


SKWATが亀有に移転した経緯については、SKWAT青山が完成したところから話を遡らなくてはならない。当時、東京オリンピックの開催に沸いていた2020年ごろの東京は(パンデミックの影響に煽られながら)あらゆる力関係がうごめき、都市開発の裏で空き家が増えるなど、一時的な都市変動が起きていた。SKWATは、そんな “社会のVOID(=隙間)をどう活用していくか” という課題を前提にスタートしたプロジェクトだ。

ちなみにプロジェクト名の由来は「squat(=占拠する)」にあり、イギリス、オランダ、ドイツなどの欧州諸国では、廃墟などを占拠したパーティがしばしば行われることがある。

当時のSKWAT 青山にはフランスのファッションブランド、LEMAIRE(ルメール)が期間限定で1階に店舗を構え、入口からは躯体剥き出しの階段が赤いフェルト絨毯とともに地下と2階のそれぞれへと伸び、そこを下りればギャラリースペースのPARKが、反対に2階へと上れば、アートブック専門ディストリビューターのtwelvebooksがその空間を構成していた。

結果、青山という土地の文化的価値を高めたことで次のテナント誘致に繋がり、一旦の節目を迎えたプロジェクトは次の行き先に向かった。それが亀有だったというわけだ。


東京藝術大学や点在するアートギャラリーが多いことから、新たなアートの聖地としての気運が高まっている東東京エリアに位置する亀有は、JR東日本が手がけるJR常磐線亀有~綾瀬間高架下施設の再開発エリアでもあり、今回もそうした文脈に則って空間を活かすため、青山時代のtwelvebooksに加え、新たにVDSも交えてプロジェクトがリスタート。

開発の途中でKさんがロンドンで(後述する)バリスタの清水翔太さんと個人的に出会い、「日本に帰ったら一緒にコーヒーショップをやってほしい」とラブコールを送っていたことで実現したカフェ、tawksも顔を揃え、各プレーヤーとそれぞれのバックグラウンドが相互に噛み合い、SKACという空間は形成されている。


では、レコードを生活の中心に据え、その先何年も寄り添ってくれるようなレコードをセレクトするVDSが、どうしてまた亀有に店舗を構えることになったのか。その話題を皮切りに、関塚さんとの話がはじまった。

余白が生む人びとの摩擦と創造性


順番としては先にロンドンで店舗を構えていますが、その次が亀有ということですね。どうしてこの町でアナログレコードの店を構えようと思ったのでしょうか。

自然な流れでアナログレコードに興味をもってもらえるような場所をずっと探していたんですね。やっぱり、レコード店をやっていると音楽好き、レコード好きは集まってきますけど、それ以外の層には刺さらなかったりする。でも、SKACには、アート、建築、コーヒー、それぞれの分野が引き寄せた人びとが新たな連鎖を生んでいってくれるので、そのクロスオーバーを期待して亀有へ移ってきました。

アートは好きだけど、まだアナログレコードまでは手を出せていないというような人にも来てもらいたいですし、逆に、アナログレコード好きがアートに興味をもってもいい。この町にはまだそういったカルチャーの余白があるし、それを受けとめてくれる大きな空間も残されていたので、そんなところに魅力を感じていました。


どこもかしこも規格とルールが定められた都内の区画にはもう逃げ場がないように思いますが、そんな状況を背に亀有という町の余白に惹かれた。

ロンドンには、The Bath Houseというサウナ跡地に、Giant Steps、Beauty and the Beatというクルーが、Klipschornなどのスピーカーを持ち込んでパーティしている大きな空間があったりします。そこでは、自由でのびのびした空間で音楽を楽しめるという状況があるのですが、東京の中心から西の方にはカルチャーが目まぐるしくうごめいている一方で、そういった自由の効く場所や空間がもうそれほど残されていないですよね。

例えば下北沢にはpianola record、ranamusicaなど、尊敬する先輩たちが面白い状況をつくっていたりしていて魅力的ではあるのですが、高い家賃をカバーしなければいけない葛藤もあるだろうし、何より自分たちの場所をゼロからつくりたいという想いがあったので。


高架下開発プロジェクトが故に、縦に伸びた空間が特徴的なSKACですが、VDSではどのような音響機材を使用してこの空間の音づくりをされていますか?

とりあえず店のオープンに間に合わせるために家から持ってきたモノが多いのですが、UKを拠点とするミキサーメーカー、MasterSoundsのロータリーミキサーに、McIntosh MC202のアンプ、スピーカーはTannoyのArden、Technicsのターンテーブルにはオーディオテクニカのカートリッジ、VM540MLを使用しています。

実は、家でもVM540MLを使っていて、イベント時も常に持ち歩いているんです。イベントをやることを前提にちゃんと針を選びたかったのと、知り合いからも「どうせ、いずれはグレードを上げるんだから」と言われ、最初からいいモノを選びました。



とにかくここでは、 “ありモノでどれだけいい空間をつくれるか” ということをやっているので、いまが一番いい状態ではなくて、JBLのスピーカーをtwelvebooksのほうまで繋いでみたり、この縦長の空間でどう音づくりしていくかを試行錯誤しながら、少しずつ空間をつくっていきたいと思っています。今後は人が自然に地べたに座って音楽を聴いてもらえるようなリスニングイベントもやりたいと思っています。

天井が高かったり、数分に一度電車が通ったりと、言ってみれば悪条件なわけですが、そういった空間も活かし方次第では唯一無二なモノになり得るかもしれません。

SKACもVDSと同じで、常に完成がなく変化し続けることをコンセプトにしているので、いつでもつけ外しできるように工事現場で使われている単管で空間が構成されているんです。今日はここにあったけど明日は違う場所に、そんなふうに空間が増築されたりする。そういったフットワークの軽さがアイデアを実現することにも繋がるし、それぞれのフィールドでそれを実現できるチームが重なってできているのがこの施設なので、広い空間さえあれば互いの好奇心を刺激し続けられるんです。

常に建設中というのが、エネルギーを生み出すための秘訣になっている、と。


そうやって常に改良を重ねていくことで、空間も音も変化を楽しみながら拡張していける。だけど、それが僕たちだけではなくて、この場所を訪れる人たちと一緒に、亀有という町と交差しながら考えていけるほうがいいなと思っているんです。

近所のお客さんで、ボブ・マーリー(Bob Marley)やダンスホールのレコードを買いに来てくれた方がいて、全部で3,000円だったんですけど、キャッシュが使えないとわかると「釣りはいいや」って、5,000円を置いていかれたり。以前はずっとクラシックを聴いていたけど「最近、ジャズに目覚めてしまい」と、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)を買ってくれたお客さんがいたり。その方が80歳だったことにも驚いたんですが、そういう下町の人情が垣間見えたり、人間関係が音楽を通じて交わるというのが嬉しくて。

お客さん側も商業的というよりは下町のご近所づき合いというか、もっと人間の繋がりを感じることのできるオーガニックな関係性を求めているのかもしれませんね。ところで、関塚さんがVDSを立ち上げた経緯というのは何だったのでしょうか。


まだ大学生だった2018年に下北沢に金網に囲まれた下北沢ケージという高架下のスペースがあって、そこでアナログレコードを売りはじめたのがVDS立ち上げのきっかけでした。ただ、東京でレコード店をやってもまわりと同じようなラインナップになるし、あまり面白くないかもな、と自分がやる意味をあまり見出せずにいたんです。

そんな悩みを抱えていたころ、TAICOCLUBという音楽フェスの名前がFFKTに変わった2019年に、その会場だった山の中腹に野外音楽堂という自由に使える協賛スペースがあって、そこでひとつステージをつくることになったんです。ドーム型のテントに友達を呼んで一緒にDJしようとしていたんですが、ロンドンからドナ・リーク(Donna Leake)が来ているというので、まだ会ったことはなかったけど、「DJやってよ」って彼女にお願いしたんです。そしたら、引き受けてくれると言うので、その噂を聞きつけてオーディエンスが集まってきてしまったのですが、フェス側との調整が上手くいかず、出演はなくなってしまって……。結局、僕がそこでDJしたんですが、その時にドナに言われたんです、「選曲は面白いけど、音がよくないから一度ロンドンに来た方がいい」って(笑)。

その翌週ぐらいに、渋谷のLighthouse Recordsを立ち上げた増尾さんが当時、福岡でやっていたDesiderata(デシデラータ)という箱に行きました。そこの音の環境に圧倒されたのと、自分が好きな音楽でパーティしている人たちがいることがわかり、こういう音の聴き方ってあるんだ、と関心してしまって。そんな体験に後押しされて、その夏にロンドンに行ったことがすべてのはじまりだったと思います。

ロンドンの何が関塚さんをそこまで駆り立てたのでしょうか。VDSをはじめてまだ間もなかったと思うのですが。


僕は子どもの頃からジャズドラムをやっていて、ドラムがベースで育ったからか東京のクラブではあまりピンと来ないことが多かったんですが、ロンドンで流れている音にすごく自分の感覚がマッチしたことがあって、それでロンドンに引っ越したくなったんです。

2年間、夏と冬に毎年ロンドンに遊びに行くなかで自分が好きな音楽の話ができる友達も増えて、ロンドンの音楽シーンに貢献したいという気持ちが芽生えてきて。それで、もしかしたらVDSをこっちでやったほうが自然なのかもしれない、とロンドンでレコード店を開く決断をしました。

いきなりロンドンで店舗をやるなんて、大胆ですね(笑)。

まずはポップアップで反応を見るために日本から20箱ぐらいアナログレコードを送り、当時、ロンドンにまだオープンして間もなかったパトとフランチェスコというイタリアの若い兄ちゃんたちがやっているHidden Sounds(ヒドゥン・サウンズ)というレコード店で彼らと一緒に1ヶ月間、パリでもヴィンセントとグザヴィエの二人がはじめた Dizonord(ディゾノード)という、これもまたできたばかりのレコード店で2週間ほどアナログレコードを販売することからはじめてみました。

そうしたら、ロンドンだと見たことのない日本の上モノやシンセ、和ジャズが手にとられるんだっていう発見があって、みんなはじめて見るようにイキイキとアナログレコードを手にしてくれて、自分が思った以上の反応があったんです。自分たちが日本でいつも見ているレコードもヨーロッパでは新鮮なんだと価値転換していることに気づいてからは、日本でアナログレコードを販売するよりも海外で販売したほうが自然かもしれない、と考えるようになりました。そんな矢先にbrilliant corners(ブリリアント・コーナーズ)をやっている友人のアニーシュがこれ以上ないような好条件の物件を見つけてきてくれたんです。

ただ、パンデミックで渡航制限の最中だったので、どうしても立ち上げに行くことはできないと悩んでいる時に、最初のポップアップで出逢ったスコットが手伝ってくれることになって、彼に任せることにしました。オープン前の1年間とオープン後の1年間は日本からずっとオンラインでコミュニケーションをとっていて、渡航制限が解除されてようやく念願のショップに行くことができました。


一度会っていたとはいえ、実際にそのスタッフをマネージャーに起用するというのは、チャレンジングな選択のように思うのですが。

まだ話していませんでしたが、これには、すべてを繋いでくれていた影の立役者がいるんです。最近、Nippon Seriesというコンピレーションを多く出している、Time Capsuleというレーベルを運営するケイ・スズキさんという方なのですが、ロンドンではずっと面倒を見ていただいていて。通いはじめた頃からVDS Londonが立ち上がるほとんどすべての重要なタイミングにはケイさんが絡んでいたこともあり、彼なしではここまでこれなかったとも思っているんです。

もちろんチャレンジングな選択ではありましたが、スコットもケイさんの古い友人だったので、そういった安心感はありました。

少し話が逸れるんですが、私の友人が先日スイスに行ったそうなのですが、どう考えても日本人の視点が感じられるレコード店があったと話していて。

それたぶん、Bongo Joe Records(ボンゴ・ジョー・レコーズ)という、さっき話したパリのdizonordに紹介してもらったスイスのレコード店だと思います。この2つのレコード店と一緒にレコードをトレードする目的で旅をしていて、キャンピングカーにレコードを1000枚ほど載せてパリから出発したんです。それから、スイス、イタリアとまわり、またフランスに戻って、カンヌ、マルセイユ、リヨン、といった感じでパリに戻ってきました。

レコード店の店主たちと200枚、300枚とレコードを交換していったのですが、実際にいくらと計算するんじゃなくて、トントン拍子にノリで交換していくのが面白くて。知らない店ではなく、友人の紹介で辿ったコースだったので、交換後もしっかりレコードを販売してもらいたいという想いが伝わった点もよかったです。

今後はスペインや北欧にも行こうと思っているので、少しずつ広がっていく人脈から結びついたレコード店を巡りながら仕入れができると面白いし、少しでも目新しいレコードを東京に持ってこれたら嬉しいです。11月のオープンには間に合わなかったのですが、これから少しずつそうやって仕入れたレコードを出していく予定です。


立ち話がもたらすモノ


tawksが入っている空間には面白いマテリアルやプロダクトが展示するように設置されていますね。

このParkという空間では常に何かしらの展示をしていて、コーヒーショップであるtawksの客席でありながら、DAIKEI MILLSチームが建築現場で使った素材サンプルを再利用することがテーマにもなっているんです。彼らのプロジェクトが立ち上がるごとに生まれるサンプルなどの廃材を上手く利用して展示しているのがMaterial Mattersです。今後はこの空間でもいろいろイベントをやっていきたいですし、まずは地域の人びとと混ざれるようなコンテンツを用意できたらいいなと思っています。


tawksのシミショー(清水翔太)さんは、いつもSKACのみんなに元気をわけてくれますし、何より美味しいコーヒーが飲めるので、この場所には欠かせない存在なんです。


おしゃべりがしたいからtawksと名づけられたということですが、逆から読むと、skwat。この場所と表裏一体になっているようですね。

立ち話から新たな発想が生まれたりするので、コーヒーを飲みながらおしゃべりすることって結構重要なんですよね。大好きな空間がいつまでも残るとは限らないし、ここには国内外からいろいろな人がやってくるので、そういう人たちがこれまで見たり、体験してきた場所をシェアしながら、今度はこの空間を見て何を感じとっていくのか、そんなことを話しているんです。SKACには、ゆったりと流れている時間があるし、このParkという大きな空間もあるので、ここで起きる人びととの摩擦が今後どのようにこの空間を埋めていくかが本当に楽しみです。


アナログレコードを攪拌する、シナスタジア(=共感覚)。


話をVDSの方に戻して、アナログレコードの棚に色が書いてありますが、ジャンル分けはどのように?

真ん中の棚には、亀有に根差したオールジャンルのレコードを置いているのですが、入口から見て奥の棚には、White、Blue、Yellow、Orange、Red、と色でジャンルを分けています。

これは、夜な夜な音を聴きながら、深海のような音だったらBlue、といったように分類していたら、音にもそれぞれ色彩がある感覚がわかったんです。よくよく調べてみたら、シナスタジア(=共感覚)というのがあって、その分け方をすると、ジャンルで分けるよりももっと直感的に音楽が分類できるのが面白いアイデアだと思い、そこから家のレコード棚をすべて色で分けました。

ほかにも、地、水、火、風、空、と仏の悟りの五大要素から着想を得て、より物質に近いジャンル分けをしたりもしています。Wind、Sky、Sun、Moon、Cosmicときて、最終的には、Loveまでいくという。結局、すべて聴くのに2ヶ月かかったんですけど、それもまた音楽愛ですね(笑)。

やっぱり最後は「愛」ですか(笑)。


シナスタジアによる分類のいいところは、状況に応じてシンプルに音楽をセレクトしやすくなったことなんです。例えば、朝の空気感で何をかけようかと考えたときにBlueのセクションからアナログレコードを引っ張り出してみる。Redならラテンやアフリカの情熱的な音楽、Greenなら宇宙や大地をイメージできる。そういう感覚的なところで分けたぶん、状況からかけたい音楽を連想しやすいんだと思います。それをお店でやったら、自分がもっている感覚とVDSを訪れるお客さんとの意識や感覚の擦り合わせができるんじゃないかって。それが合っていたら嬉しいし、違っていても面白いじゃないですか。でも、視聴して戻すときにどこに戻せばいいかわからないという声もあったので、すぐにシールを貼るようにしました(笑)。その人の感覚でどのセクションに戻すかという駆け引き自体はすごく面白いですけどね。

なので、まずは色やほかのエレメントから見てもらえるといいかと思います。いきなりLoveから見るとテーマが大きすぎてよくわからなくなる部分もあると思うので(笑)。

店からのコメントやガイドも大事な要素だとは思いますけど、ここではあえて言語ではない感覚的な部分を大事にしていきたいと思っているんです。オープン前も分類がおわらずに、夜中まで12時間ぶっ続けでVDSスタッフがレコードの視聴台に張りついていたんですよ(笑)。


あと、単管が張り巡らされた空間が無機質すぎるというのがあって、Kさんと植物を入れようという話になり、ジャブティカバというブラジル原産のブドウの樹を入れることにしたんです。ブラジル先住民族の言葉で「ジャブティ」には「亀」、「カバ」には「場所」という意味があって。

つまり、「亀有」ということですね。

そういうことです(笑)。「亀のいる地」という意味になるのですが、今後はこの樹をSKACのシンボルツリーとして外にも設置していこうと思っているんです。でも、ただ樹が生えているだけではなくて、 “大人も子どもも木になっているフルーツを誰もが捥いで食べることができるような、平和な場所になりたい” という願いが込められているんです。

実は、この店に置いてあるモノは大抵買うことができるんです。レコード、スピーカー、アンプ、ターンテーブル、そのすべてがアートピースという考え方に基づいていて、棚でさえ買うことができる。お菓子の家ではないですけど、自然に手にとって触れてもらったり、音を聴いてもらい、身体を動かすことでこの空間から体験を通してカルチャーに触れてもらいたかったんです。レコード棚も清里現代美術館アーカイヴプロジェクトで什器をつくった安川流加くんというデザイナーと一緒にアイデアを出し合ってゼロからつくっていますし、作品としても展示しています。

葛飾には寅さん、亀有には両さんという2大ヒーローがいるので、僕らもいろいろな引き出しを用意しながら、彼らに負けないように、気軽に立ち寄れる公園のような存在として、この町に馴染めたらと思っています。



関塚林太郎

1992年、東京都生まれ。2018年に東京でVinyl Delivery Serviceを立ち上げると、偶然の出会いに導かれ、2021年にイギリス・ロンドンに初の実店舗をオープン。情熱的なコレクター、ディガー、DJチームによってキュレーションされた中古レコードを東京のセントラルストックから常時セレクト。その後、東京での実店舗を探す最中に出会ったSKWATを手がけるDAIKEI MILLSのチームと意気投合し、2024年11月、ロンドン支店に続き、Vinyl Delivery Serviceを東京・西亀有のSkwat Kameari Art Center内にオープンさせる。国内外のネットワークを活かした仕入れは、ジャズからエレクトロニック、日本の伝統音楽までと、あらゆるジャンルをとり揃え、独特な視点によるカテゴライズからもアナログレコードの魅力を伝えている。

Vinyl Delivery Service


〒125-0002 東京都葛飾区西亀有3-26-4
OPEN:11:00~19:00(定休日:月火、祝日営業)

HP

Photos:Shintaro Yoshimatsu
Words & Edit:Jun Kuramoto(WATARIGARASU)

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