かつて戦前からあったSPレコードは、硬度はあるものの、落下させると割れる食器のような脆さがありました。
現在のレコード盤にはその心配はありません。しなやかさをうまく取り入れ、驚くべき耐久性を備えているのです。
ただ、しなやかゆえにその保管方法には注意すべきことがあります。
感性に訴えるアナログレコードだからこそ、聴かないときにも取り扱いはセンシティブに。

耐久性と音質を追求した結果だけれど。

レコード盤

レコードは別名ヴァイナル盤と呼ばれ、その材質は塩化ビニル(塩ビ)。電気ケーブルや水道管などの住宅材料に多く使われている素材です。柔軟性と品質安定性を合わせ持ち、安価に製造できるのが利点。
レコード盤では、硬いダイヤモンドチップの針先が音溝をこすり続けます。塩ビの持つ絶妙な柔軟性が、針先との摩擦をうまく逃しながら確実に針に振動を与えます。

しかし、高温や紫外線に弱く、割れない代わりに、変形しやすいのが塩ビの短所。
そのため、レコードを熱源に近いところに置いたり、積み重ねて保管したりすると、反りが発生し、針のトレースに問題が出ます。いったん反りができてしまうと、修復は容易ではありません。

レコードは「気を付け!」の姿勢で。

レコード棚

保管時は垂直に立てる

レコードを保管する際には、タテのスペースが確保できる所を確保して、必ず垂直に立てて並べましょう。収納スペースの高さが足りずに大きく傾けた状態で並べていると、ほぼ確実に反りが発生します。

といって、横に寝かせて積み重ねるように置いていくのもご法度。重量がかかる下部で、思わぬ歪みが生まれることがあります。

また、塩ビは温度が高くなる環境も嫌います。直射日光の当たるところや暖房器具の影響には特に注意しましょう。

多湿とくれば、いつのまにか発生するあのいやなヤツ。

レコード盤は何度も使用していくにつれ、手指の脂や空気中の様々な汚れが蓄積します。それは、見事にカビの発生原因となります。
音溝の微細な窪みに張り付いたカビは、考えるまでもなく、除去するのはたいへん。空気がよどむ場所にレコードを保管するのは非常にリスクが大きいのです。

とはいえ、他に場所がないということもあるでしょう。
押入れやクローゼットにレコードを保管するしかないなどといった場合は、除湿剤の助けを借りて、カビ対策を徹底しておきましょう。

レコードを美しく収納する。

レコード棚

レコード専用ラック。

レコードコレクションが増えてくれば、専用のラックの導入を検討しましょう。インテリアとしてのデザインも考慮されており、美しく並んだレコードをためつすがめつする楽しみに、音楽へのイマジネーションがかき立てられます。

レコードラック

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キューブボックスがレコード収納にピッタリ。

キューブボックス(ディスプレイキューブ)と呼ばれる正方形の収納ボックスが、レコードの収納にピッタリなのです。レコードの数に合わせて複数のキューブを組み合わせれば、インテリア性と実用性を兼ね備えた収納スペースが出来上がります。

キューブボックス

アイリスオーヤマ

レコードラック

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癒やしの窓口。あなたを待っているかのような姿で並べよう。

レコードコレクションはぜひ、いつも目に入るところに美しく収納しましょう。
忙しい生活のなか、張り詰めたあなたの心を解きほぐそうと待っている音楽の姿を忘れないために。
そこは癒やしの世界の窓口なのです。

Words : Kikuchiyo KG

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