Always Listeningが各国の音楽事情を調査するシリーズ。このシリーズでは、以前韓国国内で人気の楽曲を集めたプレイリストを紹介しました。
世界の音楽・カルチャー事情をお届け!韓国独自の音楽サービスからトレンドを調査。ZICOがトップにランクイン!
今回その最新版記事として、現在韓国で人気の楽曲や音楽シーンの傾向を改めてリサーチしてみました。
第4次韓流ブームの到来!
Netflixオリジナル・シリーズ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』、『Sweet Home-俺と世界の絶望-』が爆発的な人気を誇り、韓国ドラマは一大ブームに。その勢いは止まることを知らず、『哲仁王后(Mr. Queen)』や『リプレイ:再び始まる瞬間(Replay)』、『女神降臨(True Beauty)』、『スタートアップ:夢の扉(START-UP)』、『先輩、その口紅塗らないで(She Would Never Know)』など数多くの作品が話題沸騰中です。
国際的な広がりをみせているのはドラマのみならず、映像作品では、ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』が第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルム・ドール、第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞。外国語映画が主要部門の作品賞を獲得することは、アカデミー賞史上初のこと。歴史にその名を刻みました。さらに2020年下半期にはマ・ドンソクが主演した『悪人伝』、2021年には新鋭のペ・ジョンデ監督初長編映画『光と鉄』や是枝裕和監督が演出を手がける『ブローカー』など注目作が目白押しです。
韓国の最新音楽事情をチェック!
BTS(防弾少年団)やBLACKPINKは欧米で人気を拡大し、国際的にも大活躍。2020年9月5日付米BillboardのHOT100チャートで、BTSの“Dynamite”が韓国人アーティストとして初の1位を獲得しました。また、BLACKPINKはセレーナ・ゴメスをフィーチャーした“Ice Cream”が同チャート9月12日付でBLACK PINKとしては過去最高の13位に。両グループともに、圧倒的な実力と魅力で世界中のファンを惹きつけ続けています。
Night Tempo、YUKIKAなど「シティ・ポップ」を再評価するアーティストが活躍
ここ数年は、80年代〜90年代の映画やファッションがリバイバルされたり、アナログ・レコードやカセットが再評価されていたりと、世界的にも「レトロ」な感覚に注目が集まっています。そのような流れの中で、韓国では「ニュートロ」(=New+Retro)という造語が登場。以降、感度の高い若者を中心に、音楽、ファッション、ショップやカフェなど、あらゆるカルチャーを「ニュートロ」なムードが席巻しています。
音楽において「ニュートロ」の象徴となっているのが「シティ・ポップ」と言えるでしょう。シティ・ポップ再評価のムーブメントの中心人物・Night Tempo(プロデューサー/DJ)は、竹内まりやの“Plastic Love”や数々の昭和歌謡をフューチャー・ファンク調にリエディットした作品をリリース。彼の作品は欧米で先に火がつき、韓国で話題になりました。
また、シティーポップ歌手として話題のYUKIKAは、韓国で制作されるドラマ『THE IDOLM@STER.KR』のオーディション番組で韓国デビューし、アイドルグループでの活動を経てソロデビューした日本人のアーティストです。2020年にリリースしたフルアルバム『ソウルヨジャ』が世界8カ国のiTunesのK-POPチャートで1位を獲得。順調にキャリアを積み上げています
さらに、Light & Salt“Fairy of shampoo”や、マロニエ“Cocktail Love”といった、韓国で昔リリースされた音楽も「シティ・ポップ」の文脈で再び注目を集めています。
最後に、今韓国であらゆる世代が夢中になっているのが韓国の演歌、「トロット」。ブームのきっかけになったのは、ケーブルテレビ局「テレビ朝鮮」が2020年1~3月に放送した『明日はミスタートロット』というサバイバルオーディション番組です。プラットフォーム「Melon」の注目アーティストランキングトップ10の中には、イム・ヨンウンを筆頭に、トロット歌手が3人も入っているほどの人気! 韓国において、オーディション番組が音楽のブームに多大な影響を与えていることがここでも明らかになりました。
では、そんな韓国では現在どのような音楽が聴かれているのでしょうか?
韓国国内で圧倒的シェア率を誇っているプラットフォーム「Melon」のトップチャート(2021年2月17日付)より、ご紹介します。
|第1位 Celebrity/IU
IUがMelonなどの音楽配信サイトへ寄せた楽曲紹介文では、「誰もが今まで一度は、“誰かが作った基準に合わない人だから”という理由で疎外され、孤独を感じたことがあるでしょう」と語り、「あなたは“変わった人”ではなく“星のような人”」というメッセージを歌詞に表現したと説明しています。
IUは、“Celebrity”も収録予定の、4年振りとなる5枚目のフルアルバムのリリースが控えているほか、是枝裕和監督が演出を手がける韓国映画『ブローカー』への出演が決定しているとのこと。俳優としての活躍にも期待大です。
|第2位 Shiny Star(2020)/KyoungSeo
2019年に放送終了となった人気アカペラ番組『Vocal Play2』で準優勝した後、2020年11月にデビューしたばかりの新星・KyoungSeoのデビュー曲となる“Shiny Star(2020)”が第2位にランクイン。
2021年1月10日に放送されたSBS『人気歌謡』では1位を獲得。無名の新人歌手がデビュー曲で地上波音楽放送1位になることは異例のことです。
本楽曲は、2010年に発表されたヤン・ジョンスン(Kiroy Y)の楽曲“Shiny Star”のリメイクで、そのピュアな歌詞と歌い出しからぐっと掴まれる歌声、キャッチーなメロディーが評判となっています。どこか懐かしいMVにもご注目を。
|第3位 Dynamite/BTS (방탄소년단)
BTSのキラーチューン”Dynamite”は第3位にランクイン。とびっきりの輝きを放つこの楽曲のMVは2020年8月に公開され、2021年2月現在には8.5億回再生を突破。ダンス動画などがバイラルヒットするなど、昨年最も影響力のあった楽曲と言っても過言ではありません。
BTSは、アルバム『MAP OF THE SOUL:7』が、2020年に米国で最も多く売れたアルバムチャート2位に。世界的にも着実に圧倒的な地位を築きあげています。
(BTS)Photo:Big Hit Entertainment