『Always Listening』がセレクトするおすすめ音楽映画コーナー。今回は、「大切な人と一緒に観たい、ホリデーシーズンにぴったりの音楽映画7選」!
クリスマスや年末年始の休暇中に、映画館で、あるいは自宅で、恋人や家族と一緒に楽しみたい映画をご紹介します。どの作品も、音楽にこだわりを感じさせるものをセレクト。ラブストーリー、コメディ、ファンタジー等、様々な物語と音楽が大切な人との時間を豊かに彩ります。
1. 『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』
伝説の歌姫、グレースのアシスタントとして忙しく働いているマギー。彼女の夢は音楽プロデューサーになることだった。そんなある日、無名のシンガー・ソングライター、デヴィッドの才能に気づいたマギーは、プロデューサーだと嘘をついて一緒にデモテープを作ることに。仕事に追われながら、必死で夢を追いかけるマギーを演じたのは、ハリウッドスターのドン・ジョンソンとメラニー・グラフィスを両親に持つダコタ・ジョンソン。等身大の演技でキュートなコメディエンヌぶりを発揮している。一方、新作を作りたいのに古いヒット曲ばかり歌わされてうんざりしているグレースを演じたのは、ソウル・ミュージック界のレジェンド、ダイアナ・ロスを母に持つトレイシー・エリス・ロス。今回、初めて母親譲りのソウルフルな歌声を聞かせているのも話題だ。友情、恋愛、親子関係等、物語に盛り込まれた様々な絆を取り持つのは音楽。さらにところどころに音楽ネタが散りばめていたり(レコーディングシーンにはAudio Technicaのヘッドホンも登場!)と、音楽好きを笑顔にしてくれる映画だ。
INFORMATION
『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』
監督:ニーシャ・ガナトラ
脚本:フローラ・グリーソン
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
出演:ダコタ・ジョンソン、トレイシー・エリス・ロス、ケルヴィン・ハリソン・Jr、アイス・キューブ他
配給:東宝東和
原題:THE HIGH NOTE
12/11(金)ロードショー
公式サイト
2. 『ソング・トゥ・ソング』
音楽で成功したいのかどうかわからないまま、流されるようにバンドをやっているフェイ。彼女は大物プロデューサーのクックと密かに付き合っていた。そんなフェイに売り出し中の作曲家、BVが恋をする。クックは「自分との関係を内緒にして付き合え」とフェイをそそのかし、その一方で、貧しいウエイトレスのロンダを口説く。複雑に絡み合う4人の恋の行方は……?。ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマンという豪華キャストが共演。ロックフェスが舞台になっていて、パティ・スミス、イギー・ポップ、ジョン・ライドン等、様々なミュージシャンがカメオ出演しているのも見逃せない。愛、夢、欲望等、様々な葛藤を抱えた4人の関係を、巨匠テレンス・マリック監督が美しい映像で描き出して、人間にとって大切なものは何かを考えさせる。
INFORMATION
『ソング・トゥ・ソング』
監督・脚本:テレンス・マリック
製作総指揮:ケン・カオ
音楽:ローレン・マリー・ミクス
出演:ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、マイケル・ファスベンダー、ナタリー・ポートマン、ケイト・ブランシェット、ホリー・ハンター、ベレニス・マルロー、ヴァル・キルマー、リッキ・リー、イギー・ポップ、パティ・スミス、ジョン・ライドン、フローレンス・ウェルチ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ他
2017年/アメリカ/128分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/PG12/
原題:SONG TO SONG
配給:AMGエンタテインメント
提供:キングレコード、AMGエンタテイメント
© 2017 Buckeye Pictures, LLC
12/25(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
公式サイト
3. 『ビル・マーレイ・クリスマス』
主演:ビル・マーレイ、監督:ソフィア・コッポラという『ロスト・イン・トランスレーション』の組み合わせで贈るクリスマス・ムービー。クリスマスイヴに、NYの老舗ホテル、カーライルのラウンジで生中継のショーをする予定だったビル・マーレイ。ところが大雪で客やゲストが来られなくなってしまう。気乗りしないまま始めたショウは、途中で停電が起こって中止に。そんな何をやってもうまくいかないイヴの夜、ビルやラウンジの客、従業員たちの間でささやかなパーティが開かれる。本作は物語に沿ってキャストが歌を聞かせるバラエティショー形式になっていて、本人役で出演したマイリー・サイラスや、バーテンダーに扮した元ニューヨーク・ドールズのデヴィッド・ヨハンセン。シェフたちに扮したフランスのロック・バンド、フェニックス(ヴォーカルのトーマ・マーズはソフィアの夫)等の歌。そして、洗練された演出でクリスマス気分を味わえる。なかでも、全員で歌うポーグスのカヴァー「ニューヨークの夢」が最高。
4. 『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
原作とキャラクター・デザインをティム・バートンが手掛けたクリスマス映画のクラシックス。死者の街、ハロウィン・タウンの住民は不気味なことが大好き。ハロウィンは町中あげて大騒ぎするが、ジャックはハロウィンに飽きていた。そんなある日、ジャックは森の奥にある「クリスマス・タウン」に迷い込み、そこで初めて見たクリスマスに心惹かれる。自分もクリスマスをやってみようと意気込むが、そこに嫌われ者のブギーが現れて大騒ぎに。伝統的なストップモーション・アニメにデジタルの技術を加えて作りあげたファンタジックな映像世界。そして、バートンがデザインした不気味だけど可愛いキャラクターも魅力的な本作は、熱狂的なファンを生み出した。バートン作品の常連、ダニー・エルフマンがミュージカル仕立てのサントラを手掛けていて、ジャックの歌のパートをみずから歌う等音楽面で大活躍している。
5. 『かいじゅうたちのいるところ』
ミュージック・ビデオの世界で注目を集めて映画の世界に進出した鬼才、スパイク・ジョーンズ監督が児童文学に挑戦。モーリス・センダックの人気絵本を映画化したのが本作だ。8歳の少年、マックスは、最近、母親にも姉にも構ってもらえずイライラしていた。ある夜、ついに怒りが爆発。家出したマックスはボートに乗り、嵐を抜けてたどり着いたのは、怪獣たちがいる不思議な国だった。スパイクはユニークな怪獣たちを、昔ながらの着ぐるみで表現。CGで細やかな表情の変化を生み出すことで、怪獣たちに生命を吹き込んだ。サントラを手掛けたのはNYのロック・バンド、ヤー・ヤー・ヤーズのヴォーカル、カレン・O。子ども達のコーラスを加えた「カレン・O・アンド・キッズ」名義で作り上げた躍動感溢れる曲の数々が、スクリーンで暴れまわるマックスや怪獣たちを応援しているようで、見終わった後は子どもの頃に戻って思いっきり遊びたくなる。
6. 『ラブソングができるまで』
80年代にポップ・アイドルとしてブレイクしたアレックス。今ではすっかり世間に忘れられてしまった彼のもとに、人気絶頂のシンガー、コーラから新曲の依頼がくる。カムバックする絶好の機会にアレックスの気合が入るが、なかなか良い歌詞が書けない。そんな時、アレックスは失恋がきっかけで書くことをやめた作家志望のソフィーに出会う。ラブコメの貴公子、ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが共演。曲作りを通じて次第に惹かれあっていく二人を楽しそうに演じている。音楽を手掛けたのは、アメリカのロック・バンド、ファウンテン・オブ・ウェインのアダム・シュレンジャー。アレックスとソフィーが共作する美しいラブソング「愛に戻る道」で物語をロマンティックに盛り上げる一方で、かつてアレックスが在籍したバンド、ポップのヒット曲「恋は突然」は80’sポップスへのオマージュに満ちていて、遊び心たっぷりのミュージック・ビデオも楽しい。
7. 『ONCE ダブリンの街角で』
毎日、ダブリンの街角で歌っているストリート・ミュージシャン。誰も立ち止まってくれなかったが、チェコからやって来た移民の女性が歌に耳を傾けてくれた。二人は言葉を交わし、次第に気持ちを通わせていくが、女性には一緒に暮らす娘と故郷に残してきた夫がいた。主役のグレン・ハンサードとマルケタ・イルグロヴァは、どちらもミュージシャン。二人は本作で初めて演技に挑戦したが、そのみずみずしい演技が映画の雰囲気にぴったりで、劇中で歌われる曲がそれぞれの胸に秘めた気持ちを伝える。孤独を抱えた男女が、音楽を通じて心が触れ合っていく。そんなストーリーに影響されてか、撮影中にグレンとマルケタは付き合うようになり、一緒にスウェル・シーズンというユニットを結成した。監督は元ミュージシャンで、グレンと同じバンドで活動していたジョン・カーニー。演じる者も見る者も、恋する気持ちになれるハートウォームな物語だ。
Words:村尾泰郎