大抵の騒がしい音は敬遠される。例えば窓の外の車の音、乱暴にドアが閉まる音、工事現場の機械音。より音楽に浸るため、あるいは静かな環境で集中するためにノイズキャンセリング機能を常に有効活用している人は少なからずいるだろう。
一方で轟く音をあえて楽しむ特別な場面もある。そのひとつがロードレース世界選手権の「MotoGP™」だ。オーディオテクニカは2019年からマイクロホンとその収音技術の提供などを通して大会を応援している。
MotoGP™の歴史は1949年から始まり、現在は二輪車両の排気量によってMotoGP(1000㏄)、Moto2(765㏄)、Moto3(250㏄)と三つの階級に別れている。毎年二十戦前後のレースが世界各国で開催され、年間を通して総合優勝を競う。自動車でいえばF-1、自転車でいえばツール・ド・フランスのように、その頂点に輝けるのはごく一部のトップアスリートのみ。
排気量が変わるとマシンの最高速度も変わり、最高峰クラスでの走行速度は時速360km/hにも達する。レーサーは時に新幹線よりも速いスピードでサーキットを駆け巡るのだ。
エンジンの奏でる音
オートバイのエンジン音は、排気量やシリンダーの数に起因する。その仕組みは複雑で多岐にわたる。MotoGP™は各階級で搭載するエンジンのルールがあるが、参加する車輌は細かな構造から走り方まで、それぞれが個性にあふれる。そして同じ階級のレースであっても、開催地や路面のコンディションなど様々な要因がその都度レースの音を変える。
そんな個性豊かな音源を精密に拾いあげて臨場感を届けるため、オーディオテクニカのエンジニアたちは切磋琢磨してきた。その詳細はこちらの記事から。
これまで気づかなかった音も、ひょっとすると楽しめるかも
“うるさい”音もよく聞いてみれば、感じ方は違うだろう。大きな音から小さな音まで私たちの身の回りは音源がたくさんあり、同じような音には微細な違いがある。レコードをジャケットから取り出す音、何気ない衣擦れ、部屋の中の空気の音。時にはとりとめのない日常の音に耳を傾けてみてはいかがだろう。その後に聴く音楽は一味違うかもしれない。