日常的にマイクを使う機会が増えてきた。良い音で聴きたいと思うのと同じように、良い音で録りたいと思っても、いざマイクを使おうとなると、たくさんの種類があって、選ぶだけでも途方に暮れてしまう。話すのか、歌うのか、楽器を演奏するのか、使う人のシチュエーションもさまざまだ。
そこで、オーディオテクニカ「アストロスタジオ」のスタジオマネージャーが、マイクの基礎や使用方法、目的に合ったマイク選びを、簡単、簡潔に徹底解説。これでもうマイク選びには迷わない!
(第6回はこちら)
▼第7回
「ポップフィルターとは? AT-PF2 前編」
「吹かれ」を抑えよう
今回は、マイクではなく、マイクの前に付けるポップフィルターAT-PF2の紹介です。これも最近需要が高まっていると聞きますが、そもそもポップフィルターとは何でしょうか?
マイクとの距離について、握り拳一個分くらい開けるという話を以前しましたが、それでも精細なマイクだと、息がどうしても入ってしまいます。息で揺れて歪んだり、ノイズになっちゃったり、その「吹かれ」というのを抑えるのがポップフィルターと言われてるものです。色々なシチュエーションがあると思うんですけど、レコーディングでは昔からスタンダードとして使われています。一般でもなんでポップフィルターが必要かというと、ヘッドホンで皆さんが聞くようになったからなんですね。カラオケで歌ってると自分の声はスピーカーから出てるから、「吹かれ」ってそれほど気にしないんですけど、自分で歌ってる声をヘッドホンで聞くのって、凄く繊細に聞こえるので、どうしても声がノイズになったり、無駄な息遣いが入ったりというのが目立ちます。だから、ポップフィルターは、より綺麗に歌ったり、録ったりというときに使うものです。
初歩的な質問ですが、マイクに付ける風防とポップフィルターの違いは何でしょうか?
風防は屋外の自然の風が強いところでのロケとか、そういうシチュエーションで使うものです。ポップフィルターは屋内の録音で、自分の声をより繊細に録りたいときに使うものです。
録音したい対象物があって、そことの距離が近いような時に使うということですか?
例えば、いきなり、この位置で歌ってくださいって言っても、ポップフィルターがないとなかなか分からないですよね。どの位置に自分の口元が来ていいのかという目安になります。
ポップフィルターがマイクの位置を教えてくれる
マイクとの位置をポップフィルターを置くことで、よりはっきりと意識、確認するということですね。
はい。ここまでですよと。普通のライブだと、マイクに思いっきり口をつけたりするんですけど、その感覚ってボーカリストにとっては欲しいと思うんです。だから、ポップフィルターを付けてその感覚を出してるというのもあります。もし、マイクがあったら、どの位置で喋ったり、歌ったりしたら良いのかと皆さん思いますよね。ポップフィルターがあれば、大体ここだろうなっていう意味合いを持たせることができます。
なるほど。もう一つのポップフィルターの存在意義が分かりました。
実はそれが大半ですね。それによって、ちゃんと良い位置を自分で作れると思います。この範囲内を狙って歌ってください、という的にもなっているんです。
ポップフィルターに、材質的な違いはあるんですか?
特にないですね。素材によって「吹かれ」がめちゃくちゃ変わりますというのはないです。ただ、ポップフィルターには網がありますよね。構造的に網が濃い、薄いで、結構、「吹かれ」は変わります。網が何層構造にもなっていて、しっかりしたものは「吹かれ」に強くて、値段も高い。目が粗くて向こう側がスカスカに見えるようなものは、「吹かれ」に弱くて、安いというのはありますね。網の濃さは重要で、マイクの全体についてるヘッドの網の密度によって、唾が入ったり、息が入りやすかったりします。だから、自分が息が出やすいとか、歌ってると唾が出やすいという人は、網が濃いほうを選んでもらったほうが良いというのはあります。