YouTubeチャンネル『カミナリの記録映像』ではカミナリこと石田たくみと竹内まなぶが懐かしいゲームをプレイしたり、企業へ社会科見学に行ったり、AKAIのMPCで音楽制作をする様子を届けたりと、自分たちが今「やりたいコト」を動画として配信し、記録映像として残している。

その中でも注目したいのが、作曲家デビッド・ワイズ(David Wise)の音楽の素晴らしさを紹介する「Road to デビッド・ワイズ」と題された一連の動画だ。 1995年に発売されたスーパーファミコンソフト『スーパードンキーコング2』の音楽が良曲揃いなのでじっくり堪能したいという趣旨から企画はスタートし、最初はふたりでゲームプレイやその音楽を楽しんでいたのだが、紆余曲折を経て、最終的には作曲者に会うためにイギリスへとアポなしで渡り、奇跡的に本人に会うことができた。

動画の公開は2023年。 どうして子どもの頃に好きだったゲーム音楽をYouTubeで取り上げようと思ったのか?自分が好きな音楽を作った本人に出会ったことで、自身にはどのような影響があったのか?約1年が経過した今、その企画やデビッド・ワイズとの邂逅の裏側、自分が好きなことをテーマにしたYouTubeチャンネルでの活動についてなど、石田たくみに話を訊いた。 (もしも時間が許すのであれば、ぜひ動画を観てから本記事を読んでほしい)

YouTubeチャンネルで話題に

カミナリのYouTubeチャンネルで話題に

ゲーム自体はいつ頃からお好きだったんですか?

小学生の頃からですね。 たしか最初にプレイしたのはスーファミのロックマンで、そこからドンキーコング、ドンキーコング2、あとは聖剣伝説3などなど。 RPGや横スクロールのゲームが好きだったので、王道のマリオとかでは遊んでませんでしたね。 それからしばらくしてニンテンドー64が発売されたので今度はそっちで…という流れです。

ドンキーコングシリーズとはどういったきっかけで出会ったんですか?

ドンキーコングは友達の家にあったのでそこで初めて遊びました。 ドンキーコング2は…気づいたら家にありましたね(笑)。 親におねだりした記憶はないので、もしかしたら4つ上の兄が買ってたのかもしれないです。

その時から曲の良さには気づいていましたか?

小学生の時は、正直何とも思ってなかったです(笑)。 ゲームのBGMや世界観は勝手にそういうものだと思って受け入れてました。 そこからいろんなソフトをプレイして、自分も中学生、高校生と成長していくじゃないですか。 他のゲームと比べたり、たくさんのゲーム音楽を聴いたりして、ふと思い返した時に、ドンキーコング2の曲は自分の中で輝いてたな、というのがなんとなくありました。

ドンキーコングシリーズ

ターゲットが子ども向けのゲームでも、当然ですがそこに関わる大人たちは良いものを作ろうと懸命に働いている。 大人になってからそれに気付いて、そこからどのようにYouTubeの企画として展開されていったのか教えてください。

学生だった当時、作曲者については特に調べたりはしていなかったんです。 それが大人になって、芸人になって、2021年に「YouTubeやろう」ってなって。 僕たちのチャンネルはケイマックスっていう制作会社と一緒に作っているんですけど、毎回企画の撮影が終わったらそのままみんなで飲みに行くんですよ。 そこで「次の企画は何やる?」って、やりたいことを探すのがルーティンなんです。

ある日なんとなくドンキーコングの話題になって、「みんなやってたよね」って盛り上がった時に僕が「あの曲やばかったよね」って切り出したんです。 そしたらスタッフの吉野くんは僕よりも思い入れがあったみたいで、彼が「あの曲はデビッド・ワイズっていう作曲家が作ったんだよ」って教えてくれました。

今買おうとするとドンキーコングのサントラは値段がかなり高いっていうのは知ってたんです。 それを知ったきっかけは思い出せないんですけど、たぶんスマホか何かで情報を見かけたんでしょうね。 だからサントラを買うことはできない。 でも音楽は聴きたい。 そうなると、ゲームをプレイするしかない。

だから企画として、相方のまなぶにプレイしてもらうことを思いついたんです。 「どうせまなぶは上手くいかないから、曲をしっかり聴けない。 それにブチギレるっていう流れはどうですか?」って提案したんです。 そしたら「それ、めっちゃいいね」って。 実際どういうやられ方をするのかは想像つかなかったので、そこも含めて撮影は面白かったですね。

まなぶがやられちゃうのは織り込み済み

まなぶさんがやられちゃうのは織り込み済みだったんですね(笑)。

それはもうわかってました、もちろんです。 申し訳ないですけど想定内でしたね(笑)。 そこに厚みを入れるために「デビッド・ワイズの話もした方がいいんじゃない?」っていうアドバイスをスタッフさんにいただいたんです。 「伝説の作曲家がいて、でもそのサントラは高くて…」みたいな。

なるほど!

僕らのYouTubeチャンネルは「とりあえずやりたいことをやる」っていうチャンネルなんですけど、これ以前に一度ゲーム企画やったらそれがハマったんですよ。 それでゲーム系の企画を充実させていこうっていうことになって。 僕もYouTubeのスタッフさんも、まなぶ以外はゲームが好きなんです。

まなぶさんはそこまでゲーム好きではないんですか?

まなぶは全ハードは家にあったんですけど、ただ買ってもらっただけでプレイしてないっていう不思議な人だったんです。 それで友達が集まって溜まり場になって、みんなが勝手に遊んで全クリされてるような、変わった家だったんですよ。

視聴者の中にはそういうゲームがそこまで好きではない人もいると思うので、「みんながこのゲーム好き!」っていうよりは、ひとり置いてけぼりの人が居た方が良いと思ったんです。 だから、まなぶが全く知らないっていうのは助かっているというか。 それでドンキーコングの動画を出したら思っていたよりも音楽の良さを感じてる人がいて、それでワイズさんに会いに行こうってなったんです。

昨年公開されていた「デビッド・ワイズに会おう」という動画の背景ではどのような動きがあったんですか?

もともと、僕が海外に行ったことがなかったんですよ。 それでずっと「どこかに行きたい」って言ってて。 だから海外ロケに出ようという流れはあったんですけど、ただ行くだけではまとまりがないので、何かテーマを作ろうということになりました。 それに対して「デビッド・ワイズにアポなしで会いに行ったら面白いよね」っていう提案が出て、調べたらどうやらイギリスにいるということがわかったんです。

僕は『007』が好きでYouTubeでも関連の企画も出していたし、まなぶはサッカーが好きなんですよ。 プレミアリーグはイングランドでしか観られないし、当時はワールドカップが終わった直後で三苫選手がブライトンで活躍してて。 全部がイギリスに詰まっていたので、ワイズさんの企画をメインにして行けばいろんな動画も撮れる。 それで「イギリスに行こう」ということになりました。 それで、まなぶが航空券やホテルまで全て手配したんです。

まなぶさんが全部手配されたんですか!

まなぶが全部手配しました。 もとからまなぶは旅行の計画を立てるのが好きな奴で、それで予約とかは全部やってくれたんです。 ただ、ワイズさんとのアポだけは絶対に取らないようにしてました。 もしこれがテレビ番組だったら段取りは必ずあるんですけど、せっかく自分たちのチャンネルでやってるので、「会えなくてもいい。 面白いよね。 」っていうのが大前提であったんですよ。 なので、そういう連絡は取らないようにしました。

まなぶは旅行の計画を立てるのが好きな奴で、それで予約とかは全部やってくれた

ただ「イギリスのどこに居るか」くらいは知っていた方がいいじゃないですか?調べたらワイズさんは会社を個人でやっているのでホームページに住所が載ってたんです。 それで手がかりはこれだけにして「ノッティンガムに行こう」と。

実際にその場所に行ってみたら、留守だったんです。 でもそこまで行ったら、どんどん会いたくなって。 Xはなぜかお互いにフォローしていたので「DMを送るか」って話になったんですけど、「よく考えたら失礼だよね」っていうことにそこで気づいたんですよ(笑)。 だから一旦どこかに落ち着いて、諸々を会議しようということになりました。 それでカフェに向かっていたら彼が前から歩いてきて「あっワイズ」ってなったっていう。

動画拝見しましたが、あれは本当にすごいなぁって思いました!

はい、奇跡ですあれは!(笑)

彼が前から歩いてきて「あっワイズ」ってなった

動画では「30分後にCAFE NEROで(話そう)」ということになっていましたが、その30分間は何が起きていたんですか?

まずはサインを書いてもらうために持ってったのに移動車に置き忘れていたドンキーコング2の箱入りソフトを回収して、あとはCAFE NEROの席取りですね(笑)。

店内だと撮影許可だったり、他のお客さんにも迷惑になっちゃうじゃないですか。 だから絶対に外のテラス席がよかったので、そこを確保しました。 それでもワイズさんが来るまでにはまだ時間があったから、まずは自分たちの分だけ飲み物を注文したんですよ。 寒かったので、僕たちとスタッフはホットコーヒーを、通訳のジェームスさんは紅茶を。 それでちょうど手元に飲み物が揃った瞬間に、ワイズさんが到着したんです。 なので急遽スタッフの分のコーヒーを差し上げました。

すごいタイミングだったんですね(笑)。

本当はワイズさんの分は、ゆっくりしてから好きなものを注文してもらおうと思っていたんですけどね。 動画のコメント欄で「ジェームスはコーヒー飲まずに通訳してるのがカッコイイ」って書いてあったんですけど、実は裏で紅茶飲んでたし、本当にコーヒーを飲んでなかったのはスタッフの中辻くんっていう(笑)。

ワイズさんに会う前はどんなお気持ちでしたか?

会う前は、ちょっと怖さはありましたね。 どんな人かわからないし、言葉も違うのでちゃんとコミニュケーション取れるかな、とか。 自分たちがちゃんとできるかという不安がありました。 そしたら思った以上にジェームスさんの通訳が上手すぎて、ワイズさんも思った以上に話してくれて。

ワイズさんがインタビュー前に「お前たちと写真撮りたい」って言ってくれて、一緒に写真を撮ったんです。 それと本題に入る前に「東京が好きだから、音楽イベントを主催してくれ」ってまず切り込んでくれたんですよ。 そのおかげで、話しやすい人なんだなっていうのがわかりましたね。

正直、数人のアジア人が急に近所まで尋ねてきたら怖いと思うんですよ。 でもSNS上で繋がっていたし、僕らがワイズさんが作った曲をYouTubeで配信してたことも、きっとなんとなくわかってくれてたんですかね。 いろいろと受け入れた上で来てくれたんだなってことを理解しました。 その上で、心を開いてきてくれたのは嬉しかったですね。

ノッティンガムでの邂逅時に着ていたTシャツ。 日本の古着屋さんで見つけたもので、タグから察するにおそらく当時のUFOキャッチャーか何かの景品用で制作されたものだそう。
ノッティンガムでの邂逅時に着ていたTシャツ。 日本の古着屋さんで見つけたもので、タグから察するにおそらく当時のUFOキャッチャーか何かの景品用で制作されたものだそう。

直接お話をされて、楽曲の魅力や見方には何か変化はありましたか?

ワイズさんは人を飽きさせない音楽作りを大事していて、彼の音楽は4小節か8小節ごとに転調しているんです。 それと曲の入りも大事にしていて、「これから何が起きるんだろう?」って聴きたくなるような始まりになるようにしているというお話をしてくれました。

僕はヒップホップが好きで、趣味で曲作りをしているんですけど、ヒップホップのビートって転調はなくて、ループになっているんです。 そこに乗る歌詞やラッパーさんの歌い方で曲の魅力が広がっていく。 でもワイズさんが作っているのはメロディだけで完結させる必要がある音楽なので、そういう工夫をされているということを本人の口から聞けてありがたかったですし、それから改めてワイズさんの音楽を聴いたら本当にその通りの構成になっていて、そのすごさを改めて実感しました。

ご本人から作曲のポイントを聞くことができたのはとても貴重な体験だったと思います。 お会いする前はどんな人かわからないという不安があったとおっしゃっていましたが、実際にお話をしてからの関係性はどのような変化があったのか教えてください。

最初にロンドンで出会ったときは真面目にインタビューに答えてくれたんですよ。 その1年後、イベントの開催で東京に招いたんです。 ワイズさんは夜に到着して、そのまま飲み会を開いたのですが、なぜかそこに東京にいる彼の友達も一緒に参加することになったんですよ。

その人たちが同席しているところでカメラを回してインタビューしたんですが、きっとそのおかげですごくジョークを言ってくれてたんです。 そこで、この人はジョークが好きなんだなっていうことがわかりました。

その翌日がイベントの日で、会場にはワイズさん専用の楽屋を用意していたんですが、ワイズさんは僕たちの楽屋で、ずっと冗談を言って過ごしてました。 そこで本性を知りましたね。 「あ、この人めちゃめちゃジョークが好きなんだな」って。

ワイズさんのイギリスジョーク、どうでしたか?

イメージ通りでしたね。 「OOOOなんだよね、ハッハッハッハー!」みたいな、あるじゃないですか。 ほぼそれでした(笑)。 だから僕が日本語で言ったジョークをジェームスさんに全部通訳してもらったらウケてたんで、ああ良かった!って思いましたね。

僕が日本語で言ったジョークをジェームスさんに全部通訳してもらったらウケてたんで、ああ良かった!って思いました

「知らない」を活かすことで生まれる笑いとカミナリの魅力

先ほどは好きなことをやるYouTubeチャンネルだとおっしゃっていましたが、改めて『カミナリの映像記録』ではどのようなことを大切にしているのでしょうか。

知らないことはやらないようにしています。 案件を頂いたときはまたちょっと違いますけど、小学生や中学生だったときの思い出を大切にすること、地元でやったら面白そうなこととか、自分たちの思い入れをベースに企画を考えています。

誰が中心となって企画を考えているんですか?

基本的には僕ですね。 思いついたら一旦まなぶに「こういうのやっていい?」って聞いて、「面白いね」ってなったらケイマックスに企画を共有して。 あとは、ケイマックスが企画をある程度まとめて考えてくれたりとか。

YouTubeをはじめてから、どのような変化がありましたか?

もともとテレビには出ていましたが、素の自分たちを出せていない部分があるなと感じるところもありました。 テレビはテレビで企画を考えている人がいるので、その都合で本当の自分たちとは違った立ち位置を取らなければいけない造りになってます。 「たくみさんはこういう感じで、まなぶさんはこういうキャラでお願いします」みたいな。

求められる役割に応えることにやりがいを感じてもいるんですけど、自分たちを出せていないということに気づいたんです。 だからYouTubeだったら自分たち主導で面白いことができるかな、という思いもありました。

そうしたら、YouTubeきっかけで「あ、カミナリってこういう一面があったんだ」とか「本当のカミナリってこういう感じだったんだ」とかわかってくれる人が増えて、チャンネル登録をしてくれる人も増えたから、やって良かったなって思いましたね。

いくつかの動画では「まなぶってこんなにキレのあるツッコミするんだね」ってコメントもありましたね。

そう、そうなんですよ!だから僕はまなぶをお笑いに誘ってコンビを組んでるんです。 テレビではとぼけたように映ることが多いんですけど、本当は知識があるし、言葉もたくさん知ってるし、ツッコミもできるし、喋れる。 だから僕自身を出したいというよりは、まなぶのそういう一面を見せたいなっていうのもありました。 面白いっていうのはわかってたんで。

まなぶがツッコむときは、キレてるときなんですよ。 だから、僕やスタッフは好きだけど、まなぶは知らないものを題材にした企画をやっているんです。 そうすると、知らないまなぶは置いてけぼりにされるから、キレるじゃないですか?この一連の流れがベースとしてあります。 たとえばMPCの企画がそれですね。

MPCの動画は、たくみさんが専門用語で説明してくれるんですけどわかりづらくて、それをまなぶさんがツッコみながら噛み砕くことでより伝わりやすくなってましたね。 音を細かく刻む「チョップ」に対して「ネギじゃねえんだから」ってツッコミ、面白かったしわかりやすかったです。

MPCのいいところが、見てる人も知らないってところなんです。 だから、まなぶがパイプ役になる。 ゲームやドンキーコングだったら知ってる人が多いと思うので、知らないでキレてるまなぶが悪役みたいになっちゃう気がしてたんですよ。 それに比べてMPCは知らない人も多いと思うので、めちゃめちゃ良い題材でしたね。

コロナ禍がきっかけで本格的に始めたMPCでのビートメイク

MPCでの曲作り、はじめた経緯をお伺いできますか?

さっきも少しお話ししたんですけど、僕は昔からヒップホップが好きで、ラップを作ったりもしていました。 ただ、芸人でラップをする人がだんだん増えてきて、何か違うことをやりたいと考えていたタイミングでコロナ禍になったんです。

その時に、ビートメイカーの芸人っていないなと思って。 まあ、ふかわりょうさんがロケットマン名義でビートを作ってたり、あとは古坂大魔王さんも作曲はされていたりするんですけどね。 でも、ゴリゴリのヒップホップのビートを作る人はいないだろうなと。

自分たちの単独ライブで使う幕間映像の編集はもともと僕がやっていて、BGMも僕が作っていたんですよ。 その派生でYouTubeをやろうってなったので、どうせならそのBGMも僕が作ることにしたんです。 難しい場合にはフリー音源をスタッフさんに探してもらって使うこともありますが、基本的にオープニングやメインの挿入曲は僕が作ってます。

機材は何を使われているんですか?

もともとMacは持っていたので、Logic Proを最初に買ったんですよ。 いろいろな音源が入っているんですけど、それを弾くためのツールが必要なので、AKAIのMPK mini Playを買いました。 それで音楽経験はないんですけど、まずはパソコン上で指1本で音を作って、重ねて、Logic Proに入ってるドラムを追加して…という作り方をしていました。

本当はサンプリングをしたかったんですけど、音楽機材って高いイメージがあったので手が出なくて。 でも「どうせなら買うか」と決めて機材についていろいろと調べたんです。 そしたら僕が使っているクレジットカードはAmazonのポイントと連携しているんですけど、めちゃめちゃポイントが溜まってて。 8割くらいはポイントで支払うことができたので、それでAKAIのMPC LIVE IIを買いました。

MPCを買ってからは、とりあえずうちにあったSONYのスピーカーと有線で繋げて音を出していました。 でもリスニング用のスピーカーだと音が処理されて出てきてしまうので、モニタースピーカーを使ったほうが良いということに気づいてJBLの良いやつを買いました

MPCを買ってからは、とりあえずうちにあったSONYのスピーカーと有線で繋げて音を出していました。 でもリスニング用のスピーカーだと音が処理されて出てきてしまうので、モニタースピーカーを使ったほうが良いということに気づいてJBLの良いやつを買いました。 あとはプラグインも、ミックスできるやつとか、マスタリングできるやつとか、レコードから音源を入れたときのノイズを除去するやつとか、いろんなのを追加して。

こんな感じで、独学でどんどんやってますね。 機材の文字って英語で書いてあるんですけど僕は英語がわからないので、ツマミを手当たり次第に触って、音の感覚を確かめながら進めたりとか。

今はエフェクターも持っていて、RolandのSP-404を使っています。 MPCと同じ用途にはなるんですけど、こっちの方が良い感じのエフェクトなんですよ。 なのでLIVE IIでサンプリングした音を一旦SP-404を経由してエフェクトをかけて、それからパソコンに入れてます。

サンプリングや曲作りはどのようにされてるんですか?

70年〜80年代後半のレコードをディグったり、月額制のサウンドライブラリから音を拾ってサンプリングしてます。 Splice(スプライス)っていうんですけど、いろんな種類の音が入ってるので便利ですね。 曲作りはやりたい時にやってます。 制作途中のときに泊まりのスケジュールがある場合は、途切れるのが嫌なのでホテルにAKAIを持ち込んで作ったりすることもあります。 LIVE IIはスピーカーも内蔵されていて、一応持ち運びができる仕様なんです。 いつも持ち運んでいるというわけではないんですけどね。 重いので(笑)。

ご自身で曲作りをされていると、いろいろなアーティストの音楽を聴く中で発見があると思います。 最近はどんな曲に出会いましたか?

いろいろあるんですけど、すごく良いなと思ったのは、「Simon Says」っていう曲です。 ファロア・モンチ(Pharoahe Monch)っていうアメリカ人アーティストが映画『ゴジラ』のサントラをサンプリングした曲で、頭のフレーズ以外は、同じ音のループなんですよ。 日本のゴジラの誰もが知ってるこの曲の「ダダダダン」っていう部分だけを繰り返す切り取り方は衝撃でした。 元ネタを掘らずとも「あ、これゴジラじゃん」ってわかるのも良いなと思いましたね。

「そのまんま元ネタじゃん!」っていうやつから「こういう風にサンプリングしたんだ」って発見があるやつまで、サンプリングで制作されている音楽の元ネタを探したり、それを聴いたりするのは好きなんです。

最後にYouTubeの話に戻りますが、チャンネルの今後の展望を少しだけ教えていただけますか?

今はいろんな国に行きたいので、海外に行く理由を探しています(笑)。 ひとつ挙げると、エジプトに行きたいんですよ。

ジョジョの奇妙な冒険ですね?

そうですね、ジョジョもそうです。 あとは今、なぜかまなぶが都市伝説の関さんのモノマネをやりだしてて(笑)。 エジプトに行けば、いろんなことができるなって思ってます。

あとは、きっかけがあって静岡県焼津市の方からお声がけいただいて企画した動画を先日公開しました。 僕たちのYouTubeを見ていてくれたみたいで、「デビッド・ワイズの『ワイズ』と『ヤイヅ』ってちょっと似てませんか?」みたいな感じでご連絡いただいたんです。

僕が隊長、スタッフが隊員、まなぶが現地のガイドっていうことにして「デビッド・ヤイヅを探せ!」っていう探検隊シリーズをオマージュした企画です。 木の棒を振り回して歩き回ったり、罠を仕掛けたりっていうバカなこともやるんですけど、しれっと「あそこでご飯食べようか」って、焼津市内の飲食店に行ったりとかするんです。 ふざけてるんだけど、実は地域の魅力を紹介しているっていう。 これはいろんな自治体のPRにできる企画だなって思いましたね。

ただ、この企画ではお声がけいただいたこともあってこういう内容にしましたけど、基本的にはワイズさんやゲーム系ばかりにはならないようにしようという話はしています。 「なんでもいいからやりたいことをやる」というテーマが根底にはあるので。

カミナリ

ボケのまなぶとツッコミのたくみからなるお笑いコンビ。 グレープカンパニー所属。 2011年結成。 2人とも茨城県鉾田市出身。 ボケのまなぶの頭を激しく叩く「どつきツッコミ」「どつき漫才」などと称されるネタを行う。

現在テレビ東京「デカ盛りハンター」、テレビ朝日「 いばらき推し 」、NHK Eテレ「やさいの時間」、NHK Eテレ「ねこのめ美じゅつかん」、とちぎテレビ「カミナリのチャリ旅〜シーズン8」などレギュラー番組多数。

Photos:Yume Takakura
Words & Edit:May Mochizuki