横浜でカルチャー臭の強いエリア野毛の老舗ジャズ喫茶ダウンビート
1956年の創業以来この地でジャズを鳴らし続け、今現在のオーナーは3代目の吉久修平さん。学生時代に吉久さんの友達がダウンビートでバイトをはじめたことをきっかけに店に通いはじめ、元々音楽は好きだったがダウンビートにきてはじめてジャズ喫茶そしてジャズミュージックの洗礼を受け、大学卒業後IT関連の仕事に就職した後も店に通い続けていた。
野毛の歴史の1ページに刻まれるダウンビート。古い雑居ビルの二階に位置し、夜遅くでもコーヒーを飲め、大きな音でジャズを聴ける、そんなダウンビートという場所は、いつしか吉久さんの癒しの場所になっていた。そんなある日、先代のマスターから店の後継者がいない事を聞き、熟考した後引き継ぐことを決意し、晴れて3代目のマスターとなった。

店内は細長くエントランスから左手がテーブルとソファースペース、右手がバーカウンターの作りになっている。
薄暗い照明と赤いレザー製のソファー、グランドピアノ、店名の由来でもある天井一面に貼られた老舗ジャズ雑誌ダウンビートの切り抜きは長年のタバコのヤニによりあめ茶色と化し、まさに『JAZZ』な雰囲気を醸し出す空間になっている。
店内ルールとしてソファースペースは喫煙可能だがバースペースは禁煙とのことなので煙草の匂いが気になる方には嬉しい環境だ。

スピーカーは創業当初から鳴り続けているソファースペースに置かれたAltec A-7、バースペースにはJBLのスピーカーを導入しておりパワーアンプにアキュフェーズのD-600 プリアンプ/ミキサーにはCDS DS-223FW 細長い店内でサラウンドな音響を楽しめるように工夫されている。Altec側のスペースは管楽器の鳴りが伸びやかでアルトやテナーの音が綺麗に響く音になっておりバー側はお喋りがしやすいようなチューニングになっている。

テーブル席側ではライブも行われており、2ヶ月に一回ほど地元のジャズミュージシャンを招いてライブが行われていたり、ロータリーミキサーを使ってジャズオンリーのDJイベントも行っている。
店内には代々引き継がれた4500枚ほどのレコードがアルファベット順に番号付けされ、リクエストブックと同期されており、毎日必ず数組からはリクエストが入るそうだ。
モダン、ハードバップ、ビーバップなどを主にかけているが、新譜も買い足し続けており、いつきても違う選曲を楽しんでもらえるように気にかけているとのこと。

店内のメニューはネルドリップで淹れた深煎りのコーヒーとバーボンなどのブラウン系のドリンクが楽しめ、クラシックなジャズ喫茶の内容になっている。
長い歴史のある場所なので昔からの常連である年配の方はもちろんのこと、近年ではSNSや雑誌の影響もあり若い顧客も増えてきているが、本当に好きな人々に愛され、昔ながらのジャズ喫茶のスタンスを変えず細々と続けていけるような店を目指していると吉久さんは言う。
昭和感が漂う雰囲気のあるお店が時代の流れとともに次々と無くなっていく現代において、ダウンビートの様な場所は希少である。
古いからこそ醸し出せる味や温もりなどをジャズの名曲と共に一度体感しに訪れてみてはどうだろうか?
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ダウンビート
〒231-0063
神奈川県横浜市中区花咲町1-43 宮本ビル 2F
tel:045-241-6167
Photos & Words by Masahiro Takai