ニューヨークが拠点のグラフィックデザイナーでイラストレーター、壁画家で作家のTimothy Goodman。オレオのパッケージデザインからGuessの腕時計イラスト、マンハッタンの高校の壁画ドローイングから著書『40 Days Of Dating』の出版と、幅広い分野で活躍する人物だ。
4年間暮らしているアパートがあるのは、マンハッタンのグリニッジ・ヴィレッジ地区。伝説のジャズクラブVillage Vanguardがあるジャズファン必訪のエリア。
白い壁で統一された部屋には、自身の作品を含むアートが貼りめぐらされている。エントランスからキッチンにかけての壁一面には手描きのドローイングが四方を囲み、まるで絵本の中に閉じ込められたような世界観だ。
自宅にいる時はレコードプレーヤーとスピーカーから、電車に乗っている時はヘッドホンやイヤーポッズから「いつでもどこでも、いろんなデバイスを使って音楽を聴いているんだ」
壁画やイラストを描くときには音楽が必須だ。「僕のアートではフリースタイルが多く、音楽はインスピレーションを与えてくれるから」
作業中によく聴くのはジャズ、ヒップホップ、ヘヴィメタル。 「ヘヴィメタルは古いものに限る。80年代のMetallicaや、80年代のバンドSLAYERとかね。ヒップホップはA Tribe Called QuestからDrakeまで、90年代から最新まで幅広く聴くよ」
アート本の隣に並ぶレコードコレクション。「50枚ほどの小さなコレクションだけど、こだわって選んで集めているんだ」。それはCDやテープとしてではなく、レコードとして世に出た曲だけを集めること。
Bob Dylanの大ファンだという。「This is my album(これがお気に入りのアルバム!)」と満面の笑みで見せてくれたのは、ロック史に名を残す名盤中の名盤『Blonde On Blonde』。「これは1966年の真冬、マイナス12度のチェルシー地区で撮影されたもの。ボブはこのぼやけた写真が好きだったみたい」
「ジャズの生ライブ音源を聴くのが大好き」でもあり、モダン・ジャズの帝王と呼ばれるMiles Davisのライブコンサートを収録した1965年の『My Funny Valentine』は、特に気に入っている。
「僕にとってのアナログって、クラシックを意味する。クラシックとはタイムレスなもの。それってアーティストである僕にとって、すごく重要なこと。流行っているからというだけでトレンドに寄せたものを作りたくはないじゃない? 時代を超えて、長く愛される作品を作りたいんだ」
Word: Yu Takamichi(HEAPS)
Photography: Kohei Kawashima