音は「振動」。振動は音楽の感動の源(みなもと)。でも振動は始末の悪い鬼っ子とも言えます。自ら生み出した振動が不要な振動を呼ぶ、これがレコード再生のパラドックス。感動の「振動」を生み出すレコード盤にこそ振動対策が効果を上げます。

そこで、試すべきアクセサリーの筆頭、「レコードスタビライザー」をご紹介しましょう。音のリアルさを求めるなら、まずはレコード盤の余計なおしゃべりに「シャラップ!」

ディスクスタビライザーとは?

レコードプレーヤー

レコード再生中にカートリッジ付近へ耳を近づけてみましょう。小さくも盛大に音を奏でているのがわかります。
音の元は振動。針が音溝をなぞって振動するとき、反作用でレコード盤も振動します。針だけではありません。回転するターンテーブルや、再生された音でさえレコード盤を振動させます。音源が同じゆえに共振を引き起こし、不快な色付けを再生音に与えます。

ディスクスタビライザーの機能は至極単純明快。言わばレコード盤の上に乗せる「重石」なのです。重量によってレコード盤面をターンテーブルに押さえつけて安定させ、外部からの影響を受けにくくして、共振を防ぐのです。

ディスクスタビライザーの効果

音の振動

レコード盤の共振を抑えるディスクスタビライザーは、音溝から振動をリアルに取りだそうという試みのひとつ。不要な振動が再び再生音に乗るのを防ぐことで、音のリアリティが高まります。ピンボケ写真を矯正するような効果があります。

振動を受けたディスクスタビライザー側からもレコード盤に振動を与えることを忘れてはなりません。ディスクスタビライザーにも固有の振動特性があります。つまり、ここにディスクスタビライザーの個性の発揮のしどころ、選択の楽しみがあるのです。

ディスクスタビライザーを選ぶとき、真っ先に注目すべきはその素材です。金属、ガラス、プラスチック、硬質ゴム。そしてそれを組み合わせた構造のものもあり、どれが自分に合うのか迷うかと思います。

選ぶときに注意すべきことは、振動は強く抑制さえすればいいというものではないという視点です。
硬い素材は抑制力が強く、音の輪郭を明確にする方向ですが、だからといって心地よくなるとは限らないのが面白いところです。
人間が普段聞いている自然音は、原音だけを感知しているのではありません。反響や混じり合いを繰り返した末に耳に届いたものです。ファジーな性質があってこそ自然でリアルだと感じるのが人間の感覚のようです。様々な材質を試す価値はここにあります。

ディスクスタビライザーの使い方

ディスクスタビライザーはレコード盤の上に載せるだけ。そんな簡単な扱いで効果を期待できるアクセサリーですが、それだけに重さには注意が必要です。重さだけを強調した製品はターンテーブルの軸受けに強い負担をかける可能性があります。単純な構造だけに、信頼できるメーカーのものを選びましょう。

AT618a

ディスクスタビライザー

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まとめ

感動を生み出す「振動」。それが音楽。振動を直接相手にするレコード再生は振動との永遠の戦い。でも、振動と格闘する中で隠れた芸術を発見できる。 ここにもレコード再生の妙味があります。汚れた振動を排除して差し引きのないリアルな音を手に入れましょう。
「余計なおしゃべりはいや。ホンネの語りが欲しい」
ディスクスタビライザーは、そんなあなたに必須のアイテムなのです。

Words:Kikuchiyo KG

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