今、世界的な再注目の最中にあるアナログ・レコード。 デジタルで得られない音質や大きなジャケットなどその魅力は様々あるが、裏面にプロデューサーやバックミュージシャン、レーベル名を記した「クレジット」もその1つと言えるだろう。

「クレジット」――それは、レコードショップに並ぶ無数のレコードから自分が求める一枚を選ぶための重要な道標。 「Credit5」と題した本連載では、蓄積した知識が偶然の出会いを必然へと変える「クレジット買い」体験について、アーティストやDJ、文化人たちが語っていく。 あの人が選んだ5枚のレコードを道標に、新しい音楽の旅を始めてみよう。

TOWA TEIが考える「アナログ・レコードの魅力」

アナログ・レコードは、音楽の形(流通するパッケージ)としては最も大きいもので、僕にとっては一番魅力的です。 知らない音楽に出会うにも、ジャケや裏ジャケは鍵です。 しばしば「其れが全て」でも過言ではないのです。 音楽を聴く際の儀式として最高のインターフェースではないでしょうか。
ジャケットから取り出して、静かにレコードを置いて針落とします。 物理的に片面20分程度がマックスな尺も生理的に心地よく。 快楽を追求するにはアナログ・レコードがベストです。

TOWA TEIが「クレジット買い」した5枚のアナログ・レコード

細野晴臣『泰安洋行』

細野晴臣『泰安洋行』

招福万来。 此処にしか無い最高な音楽。 クレジットやエキゾチックなインナーのヴィジュアルと一緒にニヤニヤ。 しかも今年にはピッタリの龍ジャケです。

THE ART OF NOISE『INTO THE BATTLE』

THE ART OF NOISE『INTO THE BATTLE』

約40年前の83年、代々木の輸入盤屋さんのニューウェーブコーナーに飾ってあり、「一体なんだろう?」と。 クラシックのようなジャケの45回転盤。 クレジットを見るとバグルス(The Buggles)の人! 
帰宅して聴いてみるとYMOとはまた違うサンプリングスポーツ感に衝撃受けました。 妙に納得アンド、プロデューサー名トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)は其れから覚えました。

渡辺香津美『KYLYN』

渡辺香津美『KYLYN』

久々にB面から聞いてみました。 今更気が付きましたが、B面のドラムは全て(高橋)幸宏さん(A面は全て〈村上〉ポンタさん)。
此れは意図的な分割なのだろうと思われますが、片面毎の世界感は、レコードやカセットならではの愉しみですね、(デヴィッド・)ボウイの『Low』しかり。 二面別々な愉しみ。

KRAFTWERK『RADIO AKTIVITAT』

KRAFTWERK『RADIO AKTIVITAT』

独盤。 近年、このLPはより好きになって来ました。
テクノにジャーマンの響きは合いまね。 独語なのでクレジットは読めませんが、16枚綴り(枚数欠損してる事が多々)の蛍光ステッカーシートが付属してて、米盤とは全然違う発色で米独共に良いです。

V.A.(Hallmark records)『TOP OF THE POPS』

V.A.(Hallmark records)『TOP OF THE POPS』

イギリスのメジャー音楽番組名をたぶん勝手に模したバッタもんコンピアルバム。 曲名&ジャケ買い。 クラフトワーク(KRAFTWERK)の名は無いが、「AUTOBAHN」とあるので賭けてみたらなかなか秀逸、味のあるカバーver.でした。
一生懸命。

TOWA TEI

音楽家

1990年に Deee-Lite のメンバーとして、アルバム『World Clique』で全米デビュー。
現在、12枚のソロアルバム、3枚の Sweet Robots Against the Machine 名義、METAFIVE のアルバム等がある。 その他に、2013年9月から現在に到るまで、東京・青山にある INTERSECT BY LEXUS -TOKYO の店内音楽監修。 NHK ドキュメンタリー番組「草間彌生 わが永遠の魂」の音楽を担当。 2018年、YMO結成40周年アルバム『ノイエ・タンツ』企画監修デザイン。 2019年、細野晴臣氏50周年記念ドキュメンタリー映画『NO SMOKING』及び、2021年には『SAYONARA AMERICA』のキービジュアルを五木田智央氏と担当し、高橋幸宏氏ベストアルバム『GRAND ESPOIR』のアートディレクションも共に担当した。 Netflix制作アニメ「SUPER CROOKS」劇伴を担当し、このアニメ作品のサウンド・トラック盤『SUPER CROOKS (SOUND TRACK FROM THE NETFLIX SERIES)』が2021年11月にリリース。 2021年は10枚目の『LP』海外リリースに続き、『EP』のリリースで締め括った。 2022年はtofubeatsリミックス集『REFLECTION REMIXES』にてアルバムリードトラック「REFLECTION (feat. 中村佳穂) [TOWA TEI REMIX]」担当した。 2023年、9月6日に初の全編インスト・ソロアルバム『ZOUNDTRACKS』、前作LP続編の『TOUCH』を 2枚同時発売した。

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Edit: Takahiro Fujikawa

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