今、世界的な再注目の最中にあるアナログ・レコード。 デジタルで得られない音質や大きなジャケットなどその魅力は様々あるが、裏面にプロデューサーやバックミュージシャン、レーベル名を記した「クレジット」もその1つと言えるだろう。

「クレジット」――それは、レコードショップに並ぶ無数のレコードから自分が求める一枚を選ぶための重要な道標。 「Credit5」と題した本連載では、蓄積した知識が偶然の出会いを必然へと変える「クレジット買い」体験について、アーティストやDJ、文化人たちが語っていく。 あの人が選んだ5枚のレコードを道標に、新しい音楽の旅を始めてみよう。

坂本慎太郎が考える「アナログ・レコードの魅力」

ジャケットが大きく、絵や写真としても価値があるのに中に円盤が入っていて音まで出ると言う物体としての魅力。 回転する円盤に針を落とすと音が出るという不思議さ。 どんなにボロボロでも、最悪電気がなくてもかろうじて音は出るという耐久性。 何十年も前のレコードがいろんな場所を渡り歩いて自分の所に辿り着き、当時の人たちが聴いていた同じ音を自分の部屋で聴いていると考えるとロマンがある。

坂本慎太郎が「クレジット買い」した5枚のアナログ・レコード

Herbie Mann『Super Mann』

Herbie Mann『Super Mann』

昔ディスコのレコードばかり買っていた時期がありました。 知識が無いので闇雲に買っては失敗を繰り返していたのですが、ある時好きな曲は大体Patric Adams(パトリック・アダムス)がプロデュースしていることに気が付きました。 それ以来クレジットにPatric Adamsの名前があると買うようにしています。 これもそのうちの1枚です。

Le Pamplemousse『Le Spank』

Le Pamplemousse『Le Spank』

ディスコは年代とプロデューサーを見れば失敗する確率が減ることを学んでから、Laurin Rinder & W.Michael Lewis(ラウリン・リンダー&W・マイケル・ルイス)の名前も注目するようになりました。 これはクレジットを見て、1977年、Rinder & Lewisプロデュース、The Jones Girls(ジョーンズ・ガールズ)がボーカルという時点で絶対良いと思い購入。 実際良かったです。

Roderick Falconer『Victory In Rock City』

Roderick Falconer『Victory In Rock City』

クレジットに僕が大好きなPeter Ivers(ピーター・アイヴァース)がプロデュースと書いてあったので買いました。 めちゃくちゃ期待した割には普通の内容で、買った当時はあまり印象に残らなかったです。 今回聴きなおしてみたら悪くないと思いました。

Professor Anonymous『Living In The World』

Professor Anonymous『Living In The World』

これはレコード屋でジャケットにピンときて手に取りました。 全然知らないアーティストでしたが、裏のクレジットを見ると最後にThanksでLenny & Patti(レニー&パティ)と書いてあったので、なんだか良さそうな気がして購入しました。 大当たりでした。

A面:若子内悦郎「かえらなかった時計屋さん」/B面:MOJO「大きいのかな 小さいのかな」

A面:若子内悦郎「かえらなかった時計屋さん」/B面:MOJO「大きいのかな 小さいのかな」

A面の作曲がかまやつひろし、B面の作詞が三上寛と書いてあったので、もしや!と思い購入しました。 内容は期待していたものではありませんでしたが、三上寛の詩はよかったです。

坂本慎太郎

1989年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。
2010年ゆらゆら帝国解散後、2011年に自身のレーベル、“zelone records”にてソロ活動をスタート。
4枚のソロ・アルバム、1枚のシングル、11枚の7inch vinylを発表。

2017年、ドイツのケルンでライブ活動を再開し、2018年に4カ国でライヴ、2019年にはUSツアーを成功させる。
今までにMayer Hawthorne、Devendra Banhartとのスプリットシングル、ブラジルのバンドO Ternoのアルバム「atras/alem」に1曲参加。
2021年、Allen Ginsberg Estate (NY)より公式リリースされた「Allen Ginsberg’s The Fall of America: A 50th Anniversary Musical Tribute」に参加。

2022年、6年ぶり4thアルバム「物語のように (Like A Fable)」を発表し、全国6ヶ所ツアー開催。
2023年6月、メルボルンでのRISING Festivalに参加、そしてソロ活動後初となる日比谷野外音楽堂ワンマン公演を開催。
様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供他、活動は多岐に渡る。

HP

Edit: Takahiro Fujikawa

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