スピーカー、アンプ、プレーヤーの3つは、オーディオシステムにとって欠かせないもの。 中でもプレーヤーは、そのオーディオシステムの最上流に位置するもので、その名の通り音楽を再生してくれる機器です。
具体的には、レコードやCDといった円盤を再生するディスクプレーヤーはもちろん、携帯型のデジタルプレーヤーであるDAPや、皆さんがお持ちのスマートフォンも立派なプレーヤーです。 さらに、ネットワークプレーヤーやネットワークストリーマーと呼ばれる、音楽ファイル再生やストリーミング再生を行なうプレーヤーもあります。
今回は、レコードを再生する第一歩として知っておきたいレコードプレーヤーの基礎知識について、音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家の生形三郎さんに解説していただきました。
多くの方がご存じだと思いますが、レコードの音を再生するにはプレーヤーとスピーカーをBluetoothで接続する方法と、ケーブルを使って有線でつなぐ方法があります。 Bluetoothを使用したワイヤレスな再生方法はお手軽で便利ですが、「オーディオ」をより深く楽しむには、幅広い機器で音を追求できる有線接続がおすすめです。
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まずはアンプとつないでみよう。
レコードを有線で再生する時に必要な機器は大まかにいうと、レコードプレーヤー、フォノイコライザー、アンプ、そしてスピーカーの4つ。
この中で、フォノイコライザーアンプはプレーヤーに内蔵されている場合と、されていない場合とがあります。
内蔵の場合は、プレーヤーからアンプに直接接続が可能です。 一方で、内蔵されていない場合は、別途、単体のフォノイコライザーアンプを用意するか、またはアンプ(プリメインアンプやプリアンプ)に内蔵されているフォノイコライザーアンプを使用することになります。
ちょっとややこしいのですが、逆にややこしいからこそ、レコード再生は可能性の幅があるとも言えます。
PHONOにつなぐ?LINEにつなぐ?
レコードプレーヤーの後ろ側についている端子には、「PHONO(フォノ)」とかかれたものや、「LINE(ライン)」と書かれたものがあります。 フォノイコライザーアンプを内蔵したタイプにはこの両方が搭載されていたり、切り替えスイッチが付いていたり。 内蔵していない場合は、出力はひとつだけ(機器によって名称が変わりますが、フォノイコライザーアンプ対応のレコードプレーヤーの場合は「PHONO」だけ)となります。
「PHONO」はフォノイコライザーアンプによるイコライジング(レコード再生用の音の調整)や増幅処理を経てないそのままの信号が出力されます。 こちらは、単体のフォノイコライザーアンプや、プリメインアンプのフォノ入力に接続します。
一方で「LINE」は、フォノイコライザーアンプによるイコライジングや増幅を経た信号が出力されますので、プリメインアンプのライン入力にそのまま接続します。
なお、PHONO入力を搭載したアンプの中には、MMとMCの切り替えスイッチがついているものもあります。 これは、両方の入力に対応しているということで、スイッチを切り替えることで、MMカートリッジもしくはMCカートリッジを取り付けたレコードプレーヤーを接続することができます。
ここで注意したいのが、フォノイコライザーアンプから出力された信号を、PHONO入力に接続しないということです。 PHONO入力は、フォノイコライザーアンプを通す前の極めて小さなレベルの信号を受けることを想定しているため、LINEレベルの大きな信号が入力されると、信号が大きすぎてアンプやスピーカーにダメージを与えてしまうことがあります。 よって、PHONO入力へ接続する際は、事前によく確認するようにしましょう。
アースケーブルの役割
レコードプレーヤーには「アース」端子というものがついていたり、「アースケーブル」と呼ばれるものが直接プレーヤーについていたりします。 これは、レコードプレーヤーとそれを繋ぐアンプ類との「グランド電位」というものを揃えて、異なる機器同士を接続する際に発生してしまうノイズの発生を抑えるためのものです。 機器によっては接続せずともノイズが乗らない場合もありますが、基本的にはアースケーブルを接続するようにしましょう。
以上のように、はじめは少し複雑で難しく感じますが、慣れるとそれもまた楽しいものです。
はじめのうちは、フォノイコライザーアンプ内蔵のレコードプレーヤーを使えばOKですし、そのまま内蔵を使い続けても構いません。 内蔵タイプは、プレーヤーやカートリッジとの音の相性も踏まえて作られていますので、何気にデフォルトが一番バランスが良かった、ということもあります。 ぜひ、気軽にレコードのサウンドを楽しんでみてください。
Words:Saburo Ubukata