DJのスタイルは「アナログDJ」と「デジタルDJ」に大きく分けられます。前者はアナログレコードを使ったプレイ、後者はデジタル化された楽曲データを使ったプレイを指します。
現代ではデジタルDJが主流になりつつあるものの、アナログ特有の温かみのあるリアルなサウンドやレコードの直感的な操作性に惹かれ、アナログでのDJプレイに興味を持つ人も少なくないことでしょう。
今回はアナログレコードでDJを始めたい人向けに、DJ用ターンテーブル選びのポイントを4つご紹介します。
【1】ターンテーブルの心臓部!駆動方式をチェック
ターンテーブルの駆動方式は、主に「ベルトドライブ方式」と「ダイレクトドライブ方式」の2種類に分けられます。
ベルトドライブ方式では、モーターとプラッター(ターンテーブルの回転部分)をゴム製のベルトでつないで回転させます。ダイレクトドライブ方式の場合は、モーターとプラッターをターンテーブル・シャフトという軸で直接つないで回転させます。
DJプレイではスクラッチなど激しい操作を行うことも少なくありません。そのため、DJ用として使う場合には、構造がしっかりしていて故障しにくいダイレクトドライブ方式がおすすめです。ベルトドライブ方式はダイレクトドライブ方式より安価な製品が多く、手軽にレコードを聴きたい場合に適しています。しかしベルトが劣化しやすく耐久性面でダイレクトドライブ方式に劣るため、DJプレイには不向きです。
回転の安定性や音質の面でもダイレクトドライブ方式がおすすめです。レコードの回転にムラがあるとワウフラッターと呼ばれるわずかな周波数変化が起こり、音質に多少影響してしまいます。ベルトドライブ方式と比べて、モーターとプラッターが直接つながっているダイレクトドライブ方式の方が回転が安定しやすく、ワウフラッターが少ないとされています。
DJプレイ用にターンテーブルを選ぶ場合は、故障しにくく回転が安定しやすいダイレクトドライブ方式を選ぶようにしましょう。
【2】回転力はDJプレイの要!トルク数をチェック
トルクとは「ターンテーブルが回転する力」を意味するDJ用語。
トルク数は「4.5kg/cm」のように表記されます。kg/cmという単位は、車のエンジンなどの回転力を表す単位と基本的には同じです。トルク数が高いほど回転力が強く、すばやくレコードが一定の回転速度に到達します。
トルク数はDJプレイのしやすさと大きく関係しています。トルク数が高いほうが曲の頭出しから立ち上がりまでのタイムロスが少なく、ミキシング(曲と曲をつなぐこと)やスクラッチ(レコードをこすって効果音のようなものを出すこと)がしやすいとされています。
ターンテーブルを選ぶ際は、トルク数が1.6kg/cm以上のものをおすすめします。
【3】曲をスムーズにつなげよう!ピッチコントローラーの有無をチェック
ピッチコントローラーとは、レコードの再生速度を変えて曲のテンポを調整する機能のことです。曲と曲をつなげる際、ピッチコントローラーを操作して曲同士のテンポを合わせ、自然につながるようにします。これはDJ用語で「ピッチ合わせ」と呼ばれるテクニックで、ピッチコントローラーが不可欠です。
リスニング用のターンテーブルにはピッチコントローラーがついていない場合があり、DJ用としてはまず使えないため注意が必要です。また、ピッチコントローラー自体はついていたとしても、微調整機能がついていないケースもあります。
標準的なピッチコントローラーの変更幅は±8~10%前後ですが、もっと変更幅が広いピッチコントローラーを搭載した製品を選ぶとプレイの幅が広がります。
【4】プレイスタイルに合わせて選ぼう!トーンアームの形状をチェック
トーンアームとは、先端にカートリッジ(針)がついた棒状の部品のこと。トーンアームをレコードへ落とし、音溝を針でトレースすることで発生した振動を電気信号に変換します。
トーンアームには様々な形状があり、代表的なものとしては「S字アーム」と「ストレートアーム」の2つが挙げられます。
S字アームはトレース性能に優れており、音溝に刻まれた情報を忠実に再現できることが大きな特徴です。クラブなどに設置されている定番機材もS字アームの場合が多いため、これからDJを始める方はこちらに慣れておくことをおすすめします。
一方、ストレートアームは針飛び(盤面の傷や振動などによって針が跳ね、再生が途切れてしまうこと)を起こしにくいことが大きな特徴です。
音質にこだわりたい場合はトレース性能に優れたS字アームを、スクラッチを多用したい場合は安定性に優れたストレートアームを選ぶとよいでしょう。
まとめ
アナログレコードの魅力は、やはり音の温かみとリアルさであると言えます。アナログDJでは、機材の選び方をはじめ、大きなジャケットからレコードを出すしぐさや、レコードをスクラッチして出す音にもその人のこだわりが出るものです。それはきっとオーディエンスにも伝わることでしょう。この記事を参考にして、あなたにぴったりのターンテーブルを見つけていただければと思います。
Words: neu inc.