皆さんは「ハイレゾ」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
ハイレゾはハイレゾリューション(Hi-Resolution)の略称で、「高解像度」を意味しており、音楽の世界では主に音質について言及する際に使われます。実は皆さんがお持ちのアナログレコードも、ハイレゾなデジタル音源にして、アナログ音源に近い音質で楽しむ方法があるのです。
「アナログレコードが増えてきて収納場所に困っている」「アナログレコードの音源をデジタル化してどこでも聴けるようにしたい」。今回の記事はそんなお悩みをお持ちの方に向けた内容です。アナログレコードをハイレゾ(デジタル)化すれば、音質を損なわずにプレーヤーで聴くことができます。
それでは、アナログレコードをハイレゾ音源化するステップや必要な知識を、詳しく見ていきましょう。
ハイレゾとは?
「ハイレゾ音源」の定義は実は曖昧です。もともとは、CDの音質を超えれば全て「ハイレゾ」と呼ばれていました。
その後、さまざまな団体で量子化ビット数/サンプリング周波数をもとにハイレゾの基準が設けられることになります。現在では日本オーディオ協会の基準にのっとり、96kHz/24bit以上のサンプリングレートの音源データをハイレゾ音源とすることが一般的です。
ところで、ハイレゾ音源は、アナログレコードの音質を目指してきたとも言われています。より高音質を目指して高い周波数の音まで細かく記録すると、アナログで記録されている原音に近くなるためです。
アナログレコードに収録されている音を、優れた音質を持つハイレゾ音源化することには多くのメリットがあります。
アナログレコードのように再生する度に摩耗や経年劣化することがないのは大きな魅力ですし、ファイル名やタグの埋め込みを工夫することで検索性にも優れます。
データ化すれば「モノ」として物理的に多くの保管スペースを占有することもありません。さらに、万が一に備えるためのバックアップもデータファイルを別のメディアにコピーしておくだけで済みます。
アナログレコードをハイレゾ(デジタル)音源化するのに必要な機材
まずはじめに、アナログレコードをハイレゾ音源化する方法として、オーディオインターフェースを用いるものをご紹介します。
必要な機材は次のとおりです。
・レコードプレーヤー
・オーディオインターフェース
・DAWと呼ばれるソフトウェア(オーディオインターフェースに付属する場合もあります)
・パソコン本体
オーディオインターフェースとは、音をパソコンに取り込んだり、パソコンの音を外部の機器に出力する機材です。
パソコンには、既にマイクやヘッドホン端子があるから必要ないと思われるかもしれません。しかし、その音質は非常に悪く、良い音を扱うためにはオーディオインターフェースが必須です。
オーディオインターフェースの機種選びで注意すべきポイントとしては、「PHONO入力」があるかどうかです。PHONO入力があるタイプであれば、レコードプレーヤーを直接オーディオインターフェースに接続できます。
オーディオインターフェースに「LINE入力」しかない場合は、プリアンプからの出力を接続するかフォノイコライザーを用意して接続します。
必要な機材が揃ったら、レコードプレーヤーの出力をオーディオインターフェースのPHONO入力にアナログピンケーブルで接続し、オーディオインターフェースとパソコンのUSB端子をUSBケーブルで接続するだけです。DAWソフトは、パソコンにインストールしておきましょう。
アナログレコードをハイレゾ(デジタル)音源化する手順
続いて、アナログレコードをハイレゾ音源化する手順の一例をご紹介します。
STEP1: パソコンにインストールしたDAWソフトを起動し、録音の準備をします。
STEP2: 次にDAWソフトのオーディオ設定で、「入力デバイス」の項目からオーディオインターフェースを選択します。具体的な設定方法は使用するソフトウェアによって違います。その他は、デフォルト設定のままで通常は問題はありません。詳しくは、各ソフトウェアのマニュアルを参照しましょう。
STEP3: レコードプレーヤーの再生を開始し、DAWソフトの録音開始ボタンをクリックします。
STEP4: 再生が終わるのに合わせて録音停止ボタンをクリックし、ハイレゾ録音した音源を「Wave」「Apple Lossless」「FLAC」などの音質が劣化しないファイル形式で保存します。どれを選べばいいのかわからない場合には、FLAC形式がおすすめ。音楽のジャンルや作曲者など様々なタグに情報を埋め込むことができ、検索するときに便利です。また「ポツポツ」といったレコード針のノイズを除去するツールなど、豊富なツールを持つDAWソフトもあるので、必要に応じてこれらの機能を利用してください。
まとめ
アナログレコードの音源を持ち出したい、レコードのコレクションをアーカイブとしてデータ化したい、という方は、ぜひ今回ご紹介したようなハイレゾ(デジタル)音源化をお試しください。
最近はスマホやビデオデッキもハイレゾ音源のファイル再生に対応し、様々な生活シーンで高音質を楽しめるようになっています。ハイレゾ音源を再生できる環境が必要という前提はありますが、どこにいてもレコード本来の音質に近い音を楽しめるのは大きな魅力です。
アナログレコードの音質をハイレゾ音源化すると、もっと良い音を身近なものにできるようになるでしょう。