レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。
第30回のテーマは「一人暮らしとレコードー狭い部屋でも音を楽しめる」です。 レコードをはじめてみたいけど場所を取りそうで大変そう。 それに、近隣への音漏れなども心配…。 そこで、一人暮らしの環境でも無理なく楽しめるコツをプロにお尋ねしてみましょう。
こんにちは、円盤好子です。 「こだわった “音環境” を作りたい気持ちはずっとあるけど、部屋が狭いからものを増やすのは嫌だ…」レコードやオーディオに興味はあれど、お部屋の大きさや広さ、あるいは壁の厚みが懸念となってなかなか手が出ない人、いるのでは無いでしょうか?
今日は、省スペースでも楽しめるレコード再生の方法をさぶろう先生に教えてもらいます!
***
円盤:さぶろう先生、自分の部屋が6畳くらいですごく狭いんです。 省スペースでもレコードを楽しみたいんですけどおすすめの聴き方やアイテムがあれば教えていただきたいです!
さぶろう先生:こんにちは。 レコードを始めてみたいけど、一人暮らしのお部屋では物が増えてスペース的になかなか大変そうだったり、スピーカーを使うとなるとお隣さんや上下階への音漏れも心配ですよね。 そこで今日は、省スペースで存分にレコードを楽しむ方法やコツをご紹介しましょう。
円盤:はい、よろしくお願いします。 とにかく部屋が狭いんです!
サウンドバーガー、おすすめです
さぶろう先生:まず、スペースの問題ですね。 とくにレコード再生は、レコード盤自体がそれなりの大きさがあるので、それを再生するプレーヤーも必然的に大きくなってしまいます。 そこに加えて、アンプやスピーカーも、となってくるとスペースの確保が大変ですね。 そこで、なるべく場所を取らずに良い音を楽しめる機材を揃えるのがオススメです。
プレーヤーは、さきほど少し触れたように、それなりのスペース確保を覚悟しなければならないのですが、一番いいのは、使わないときはサッとしまえて、聴きたいときにまたサッと出せるものです。 そんな都合の良い使い方をできるプレーヤーってなかなかありません。 しかしながら、あるのです!
それが、オーディオテクニカのサウンドバーガー「AT-SB727」です。 音質面も確かなクオリティがあって、なおかつ手軽で場所も取らないという存在は、まさに唯一無二と言って良いでしょう。 念のため断っておきますが、これはこの媒体だからお世辞を言っているわけではないですよ(笑)。
円盤:ありがとうございます!!
さぶろう先生:サウンドバーガーという名の通り、レコード盤を挟んで再生するのですが、レコードは本体からはみ出した状態でセットするので非常に小型で、しかも内蔵バッテリーだけで動かすことができるのでどこでも使えますし、本体も軽いので使わないときはサッと片付けておけます。
しかも! お手軽な見た目や使い勝手とは裏腹に、サウンドも実に「音楽が楽しい」ものとなっており、まさに今回のテーマにうってつけのプレーヤーです。 80年代風のキュートなデザインもとても魅力的ですね。 もちろんフォノイコも搭載しています。
円盤:手前みそですが本当に良いサイズ感ですよね。 サイドテーブルにも置けるサイズで、レトロモダンなデザインがインテリアにもなっておしゃれです。
スピーカーは小型アクティブ型がおすすめ
それから次に、音を出す部分です。 もっとも省スペースに済ませるのであれば、BluetoothスピーカーやBluetoothヘッドホン及びイヤホンを使用してサウンドバーガーと接続しましょう。 ひとまずレコードの音を聴いてみたいという場合は、これらを使って聴くのが良いでしょう。
そして、レコードならではのサウンドや、そのレコード盤ならではの魅力を存分に引き出したいのであれば、小型のアクティブスピーカーがオススメです。 アクティブスピーカーとは、スピーカーとアンプがセットになったもので、手軽かつ良い音でスピーカー再生を楽しめるものです。 さらに、このアクティブスピーカーにBluetooth機能が入ったものを選べば、サウンドバーガーのようなBluetooth対応プレーヤーと組み合わせることで、もっともミニマムな再生システムを構築できます。
その際、ステレオの左ch用と右ch用のスピーカーがセパレートされた2台一組のものを選んで下さい。 もっとも手軽なものとしてはオーディオテクニカ「AT-SP95」があります。 また、Bluetooth接続に対応したものとしては、House of Marley「GET TOGETHER DUO」やPRESONUS「Eris E4.5 BT」が入門にオススメです。 より本格的な選択肢としては、エアパルス「A80」やエラック「DEBUT CONNEX DCB-41」もあります。
円盤:私は普段完全ワイヤレスイヤホンを使用しているので、サウンドバーガーを買えばすぐに聴けますね!Bluetoothのアイテムを持っている人は多いと思うので、プレーヤーを買うだけでOKっていうのが始めやすくていいですよね。
さぶろう先生:最後に、スピーカー再生ということを考えたときに気になるのが、音の問題です。 良い音で楽しみたいと思う反面、周囲への配慮も気になるところですね。 ですが、実はこの「良い音」と「周囲への配慮」は、自ずと両立してくる部分もあるのです。
なぜなら、音を浴びるような大音量を得たい場合を除いて、ある程度きちんとした再生環境が整っていれば、そこまで大きな音を出さずとも、十分にスピーカー再生の醍醐味を味わうことが出来るからです。
逆に、再生環境が整っていないとバランスの悪い音になってしまい、細部が聴こえなかったり、低音が十分聴こえなかったりして、必要以上に音量を上げてしまいがちで、結果として、周囲に迷惑を掛けてしまうということに繋がりるのです。
円盤:スピーカーは、大きな音を出すのが気になって私の場合は小さいBluetoothスピーカーで再生しています。 再生環境を整るポイントさえ掴めば今の部屋をグレードアップできそうですね!
さぶろう先生:そうなんです。 スピーカーは、置き方や周囲の環境によって大きく音が変化するので、まずは、基本を抑えた設置を心がけましょう。 簡単にそのコツを3つご紹介します。
円盤:ぜひ、お願いします!
少しの工夫で音質がレベルアップ!
さぶろう先生:1つ目は、「左右対称」です。 ステレオ再生は、左右2つのスピーカーが左右対称に置かれること、そして、左右対称の環境に置かれることで、本来のバランスを再現しやすくなります。 お部屋のスペースの都合上なかなか難しいかもしれませんが、なるべく左右対称に置きましょう。 たとえば、一方は机の上、もう一方は本棚の上、といった配置はなるべく避けるとともに、そうならざるを得ない場合も、高さを揃えたり、壁からの距離を揃えたり、スピーカーを置く位置や周囲の環境がなるべく左右対称になるよう心がけます。
2つ目は、壁や机の上をうまく利用するということです。 小型のアクティブスピーカーは、省スペースな分、大きなスピーカーに比べると低い音が得にくいという物理的な特徴があります。 そこで、スピーカーを壁に近づけたり、机であれば大きな面の上に置くことで低音を補強してあげると、小型スピーカーでも豊かな低音が感じやすくなります。 ですので、スチールラックのようなスカスカな棚の上や、小型のチェストの上などに置くよりも、広い面を持ったテーブルの上に置いてあげる方が良いのです。 こうすることで、大音量を出さずとも良好な音のバランスを得やすくなります。
円盤:なるほど…低音の聴こえ方で結構曲の迫力が変わってくるので重要ですよね。 小型スピーカーでも置く位置を工夫するだけで音の鳴り方を変えることができるんですね!
最後は、スピーカー周囲の環境です。 部屋の中での音の反射が多いと、出音のバランスが悪くなってしまいます。 例えば、引っ越したばかりで何も物がない部屋は、声が響いて会話が聞き取りにくいですが、それと同じです。 よって、物が少なめで音の反射が多い場合は、ラグマットやカーペットなどを敷く(毛足が長いほど、表面積が多いほど高い音を吸います)、壁面にはタペストリーなどをかけたり、洋服をハンガーに掛けておく、また、窓であれば少しボリュームのあるカーテンを取り付けることで、音をクリアにすることが出来ます。 音がクリアになると、必要以上にボリュームを上げなくても、細かい音までしっかりと聴き取ることができます。 よって、良い音が楽しめるということと、周囲への音漏れを防ぐ、ということが両立するわけです。
なお、逆に物が多い部屋は適度に響きが拡散されるので、比較的クリアな音が聴きやすいと思います。 ただ、スピーカーの手前に物を置くなど、スピーカーから出た音が遮られないようにだけ注意して下さい。
しかしながら、基本的には自分がリラックスして音楽を聴ける環境作りが大事ですので、そこまで神経質になる必要はありません。
以上のように、省スペースでも、機材や環境の工夫次第でレコード再生を良い音で楽しめますので、ぜひともご参考にしていただければ幸いです。
円盤:プレーヤーをこれから購入したいと検討している方は、「サウンドバーガー」を!すでにプレーヤーとスピーカーを持っていて、ひと工夫加えたいという方はスピーカーの配置や家具を使って違いを楽しんでみてほしいですね!
さぶろう先生、今日もありがとうございました!
***
限られたスペースで、自分のイメージするレコードライフを実現するのにクリアしないといけない問題があるとなかなか手を出せないものです。 そういう時にはスペースをとらず、インテリアにもなる「サウンドバーガー」がまず1つの選択肢ですね!Bluetooth対応機器をすでに持っている人はなおさら、サウンドバーガーを買うだけでOKなので、省スペース省予算!
今回もう1つ、さぶろう先生に教わったスピーカーの位置を変えるというのも、とても簡単!これだけで音が変わるのは面白いですよね。 大がかりな作業も必要ないので、早速できそうです。
一人暮らしで部屋のスペースがないことで、レコードの聴き方を悩んでいる人がいたらぜひ参考にしてみてください!
では!
Supervision:Saburo Ubukata
Words:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki