レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。
第29回のテーマは「オーディオ専門家の先生に聞いてみようvol.2」です。 シェルとカートリッジの違いからレコードの回転数についてまで、今回はオーディオテクニカの社員たちから寄せられた質問や感想へのアンサーをお届けします。
こんにちは、円盤好子です。 以前、アナログ初心者からの質問で、レコード盤の種類についてやオーディオを再生する時に必要なものについてをオーディオのプロフェッショナル、さぶろう先生に質問しました。
今回は専門家の先生への質問第2弾ということで、オーディオテクニカ社内の新入社員たちからの質問です。 何事も基礎が大事!ということで、レコードプレーヤーに備わっているパーツの役割や、そのパーツが変わることによる音の違いについて聞いていきます!
質問Vol.1はこちらから:円盤好子vol.15 さぶろう先生に聞いてみよう
シェルとカートリッジは別物!
円盤:まず、これは質問ではないのですが、「シェルとカートリッジが別々のものなんだというのをはじめて知った時は驚きました!」という感想がありました。
さぶろう先生:そうですよね。 カートリッジだけではなく、それを取り付けるシェルが別に存在し、その種類も無数にあるので、色や形で選んだりと楽しみが尽きませんよね。 そういえば、自分が一番最初に買ったシェルはオーディオテクニカ製でした!
円盤:なんと! 先生のファースト・シェルが弊社のものとは嬉しいです!
セレクターで音質は劣化するの?
円盤:次は接続に関する質問ですね。
「賃貸住宅で場所がないため、スピーカーが1つしかありません。 現状、PCやCDプレーヤー、レコードプレーヤーをセレクターを用いて1つのアクティブスピーカーで音源を切り替えて使っています。 やはりセレクターを使うことによって、レコードの音質の劣化はあるのでしょうか? そもそもセレクターを繋げて使っていいものなのでしょうか?」…ちなみに先生、セレクターって何ですか?
さぶろう先生:セレクターは、音声信号の切り替え機のことで、鉄道の線路で言うところのポイント(転てつ機)のようなものです。 この質問の例では、出力先となるひとつのアクティブスピーカーに対して、複数のソース機器の中から、選択したソース機器の信号だけを繋ぐことができるものです。
便利ですが、セレクターを使うと信号の経路が長くなるので、厳密にいえば音質の変化が起きます。 そして、繋げるレコードプレーヤーによっては、ノイズが乗ってしまう場合もあるかもしれません。 しかし、現状で乗っていないのであれば大丈夫ですよ。
ウエイトの数値(針圧)は推奨値に!
円盤:続いて、こちらも質問ではないですが「トーンアームのカウンターウエイト付近にある2つのダイヤルに数値が書いてあるものの、違いがわからないです」という意見もありました。
さぶろう先生:一般的なトーンアームで見かける2つのダイヤルですが、まず、カウンターウエイトに記してある数値は、カートリッジに掛ける針圧のことです。 再生装置やそのセッティングを追求していくと、掛ける針圧によって音質は微妙に変わる場合もあります。 もし推奨値の中で針圧を変えて変化が出なければ、推奨値の針圧をかけておけば取り扱い的には問題ないですよ。
また、トーンアームの根本に付いているダイアルは、アンチスケーティング(別記事または用語へのリンク)の設定になります。 こちらも、推奨値である、針圧と同じ値に設定しておけば問題ありません。
円盤:針圧で音が変わる場合もあるんですね…! やっぱりレコードって奥が深いですね、、、。
さぶろう先生:原理がアナログな分、何をしても音が変わるんですよね。 でも、やはり音楽を楽しむことがいちばん大事ですので、取り扱いさえ間違えなければ、その他のことはそんなに気にしなくても良いです。 気楽に楽しみましょう。
カートリッジにマッチする音楽ジャンルって?
円盤:続いての質問はこちらです!
「一概には言えないと思いますが、カートリッジの針先の種類別に、マッチする音楽ジャンルを教えてください!」
さぶろう先生:カートリッジ自体のキャラクターや聴く人の好みにもよりますが、ポップスやロック、古いジャズなどは、楕円針のようなパンチのある音が楽しめる針先が個人的にはオススメです。 逆にクラシックなどの音楽は、シバタ針やマイクロリニアなど、より繊細なサウンドが楽しめる針先が合うと思いますよ!
円盤:なるほど! やはり針先にも相性があるのですね、参考にしてみます!
カートリッジ交換の楽しみとは?〜オーディオライターのレコード講座〜
レコードの回転数って何?
円盤:最後は、レコードの「回転数の違い」についての質問です。
さぶろう先生:レコードには、33.3回転や45回転、78回転があります。 これは、一分間にレコードが何回転するかを表しています。 回転数が高ければ時間あたりの音溝の長さが長くなります。 よって、情報量が増えてよりハイファイなサウンドが得られます。
円盤:そうなんですね、では、回転数が早い方が良いということになりますか!?
さぶろう先生:簡単に言えばそういうことですね。 例えば、マニア向けの高音質盤は敢えて45回転盤がリリースされたりしますが、非常に生々しい音が楽しめますよ。 でも33.3回転のほうが収録時間は長いので、一枚で長時間音楽を楽しめます。
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実際にレコードを買って再生するようになると、これは何だろう?ここを変えるとどうなるのだろう?など気になることが増えてきます。 針の種類やセッティングを変えるだけで、違った音を楽しむことができる。 そんなアナログの面白さを改めて感じることができました。
先生の初めてのシェルがオーディオテクニカ製という嬉しい情報も聞けたので、ますます仕事を頑張れそうです!笑
では!
Supervision:Saburo Ubukata
Words:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki