レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?そんな興味はあれども手が伸びない方々へ。 「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。
第8回のテーマは「やぎ座先輩とレコード」。 円盤好子と同じ部署で働く、音楽好きのやぎ座先輩。 音楽漬けの日々を送り、多くの曲に出会ってきたそうです。 そんな先輩に90年代後半のレコードにまつわる実体験を聞いてみました。
今回はレコードが広げるコミュニケーションの輪についてのお話です。
こんにちは、円盤好子です。 学生時代からロックとヒップホップが好きなやぎ座先輩は、様々なアーティストのレコードを買い集めているそうです。
学生当時のある日、いつものように好きなバンドの新譜を購入。 レコードが入った薄いビニールのショップバックを提げて新宿の街を抜け、電車で帰路についていたときのお話です。
購入したレコードを手に座席に座っていると、見ず知らずのソフトモヒカンのお兄さんが声をかけてきました。
(回想)
お兄さん「まさかライムスターのB-BOYイズムじゃないか!!」
やぎ座先輩『(お兄さんの目線を追うとレコードを見ています)そ、そうです』
お兄さん「センスあるなあ…ライム!メロディ!全部いいよなあ…」
やぎ座先輩『わかります!期待を軽く超えてきましたね!』
二人を意気投合させたB-BOYイズム
***
このお兄さんとは出会ってすぐ意気投合したそうです。 話しかけるのも勇気がいりそうですが、考えるよりも先に感動で声をかけずにはいられなかったんでしょうね。
この感覚は私もわかります。 ライブハウスで待ちわびていた楽曲のイントロが始まって隣の見ず知らずの人と目を合わせて喜んだ時を思い出しました。
こういった出会いは一度だけではなかったそうで、当時はレコードが人と繋げてくれるというカルチャーがあったようです。 何だか素敵です。
そしてレコードのサイズ感だと、中に入れている盤がより分かりやすいですね。 やぎ座先輩からその話を聞いた時は、新手のナンパ?と一瞬疑ってしまいましたが、改めて想像してみると共通の好きなもので知らない人と盛り上がれるのってすごく素敵です。
せっかくなのでやぎ座先輩のお気に入りをいくつか持ってきていただきました。 このジャケットを見ただけでも当時を思い出し、特に同じ世代・同じアーティストが好きな人は思わず反応してしまうのではないでしょうか。
***
レコードに限らずCDやカセットテープなどで音楽を集めるみなさんは、きっとただアーティストや音楽が好きなだけではなくて、思い出も一緒に集めているのかもしれませんね。 やぎ座先輩のように街でふと出会った同じレコードファンとの会話があったなら尚更、その1枚は大切な思い出になりそうです。
モノを持たない時代にはなかなか味わうことが少ない感覚。 レコードを買い、所持することで体験できると感じたお話でした。 素敵なレコード出会い話を聞いたので自分も実際にレコードを買ってみたくなりました。 次はレコードショップへ行って数枚選んでみようかな…。
では!
Words & Photos:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki