青山 ドイツ文化会館(ゲーテ・インスティトゥート東京)にて、11月21日から24日まで “生きる力” を表現する総合芸術フェスティバル「住力」が開催される。 SAMPO Inc. 、BLACK SMOKER RECORDS、ゲーテ・インスティトゥート東京が共同主催する「住力」は、いつ起こるかもしれない災害に対して “構え” を持つための祭。 “生きる力” をテーマにアーティストの展示やライブパフォーマンス、ワークショップなどが開催され、「衣食住音美」の表現が混ざり合う。
「住力」のウェブサイトを見ると、「ハレとケ* の狭間で響く文化的ミクロレジリエンス」というタグラインが目に入る。 レジリエンスとは、困難をしなやかに乗り越え回復する力のことを指すが、一体どんな祭なのだろうか。 「住力特集」では、4回にわたってこの祭を掘り下げる。
第一回は、主宰であるSAMPOの塩浦 一彗(しおうら いっすい/以下、一彗)、村上 大陸(むらかみ りく/以下、大陸)の二人に話を聞いた。 「住力」の題の裏側には、“死なないための力” をハイパーリアルに考え続ける人々の存在があった。
*ハレとケ:民俗学や文化人類学において、「ハレ」は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、「ケ」は普段の生活である「日常」を表す。
自分たちにとって、家とはなにかを考え続ける。 ライフを共にする、SAMPOという集まり
「住力」のことを聞く前に、まずはSAMPOについて教えてください。 最初、どのように始まったんでしょうか。
大陸(りく):元々、僕はモバイルハウスっていう移動式の住居で生活しながらVRのエンジニアをやっていたんですが、現実のほうが仮想の世界より広いじゃん!ってことに気づいたんです。 人が都市をプレイしていくみたいな、現実RPGみたいなスタイルを建築を通してやってみたくて、モバイルハウスを事業にしてみようと思いました。 SAMPOでは大工をしながら、作品制作をしてます。
一彗(いっすい):僕は3.11、東日本大震災があったとき──、当時17歳だったんですが、親に災害が危険だとミラノに移住するように言われたんですね。 どうやったら自分たちの手で “死なない” 生活や豊かなライフスタイルを作っていけるのかを考えさせられた、強烈な体験でした。 そのままヨーロッパで建築を学んだんですが、その中でも家賃や土地の境界線に縛られない建築というものについて考え続けました。 大学を終えて帰国したときに大陸と出会って、全然違うバックグラウンドを歩んできたのに同じことを言ってる人がいる!と。 会った次の日には一緒に事業のことを考え始めたよね。
SAMPOとして最初のプロジェクトであり、今でも核となっているのがモバイルハウスの制作ですね。 ただ、単純な移動式住居ということではなさそうです。
一彗:生きるために必要な最小単位としての「Mobile Cell(MoC)」と、インフラ兼コミュニティとしてのシェアハウスがセットなんです。 そのシェアハウスを「House-Core」という概念で呼んでいます。 モバイルセルは、中身を自由にカスタマイズできるコンテナの部屋。 茶室にしても、クラブにしてもいい。 軽トラの上に積んで移動できる、いわば “動く聖域” ですね。 それに対して、気のおける仲間が集まれるリビングや、キッチンやトイレといったインフラが揃っているHouse-Core「ろじ屋」が存在します。 Mobile Cellは、ろじ屋という帰ってこられる場所にドッキングできるんです。
今日の取材もろじ屋で行っています。 SAMPOの人たちはここに集っているんですね。
一彗:ろじ屋は5年目なんですが、元々は大陸、彼のパートナー、僕、もう一人の4人で始めました。 気づいたら増えたり減ったりして、SAMPOの人だけでなく様々な人が集まれる場所になっています。 ろじ屋メンバーは都市とローカルと自然を横断するように複数拠点を持つ人たちがほとんど。 ここに集まる人たちは本当にそれぞれ独自の生き方のスタイルを持ってますね。 ろじ屋はお店も作業スペースも泊まるところもあるし、価値観に共感してくれる人がオーガニックに集まって、その都度形を変えながら住んでいるメンバーで運営しているんです。 「Open day」と呼んでいるろじ屋の開放日もありますし、ポップアップのイベントを打つこともあります。
大陸:CJ(カレージョッキー)なんて、気づいたら住んでた、って感じだったよね(笑)。
一彗:ね、誰も住んでたことに気づいてなかったし、彼自身も気づいてなかった(笑)。 CJは元々美容師をやってて、コロナ禍でゼロからカレー屋を始めたんです。 でもお客さんもいないし家賃をどうやって払おうか、って考えたとき、「じゃあ家がなかったらいいじゃん」って発想をする人で(笑)。 ポジティブにホームレスしてるときに、「髪切るかカレー作るから泊まらせて」って言ってきて、それが週1になって、週3になって、週5になって、1年ぐらいかけて気づいたら住んでた。 歯ブラシとか置いてあるし、ここで出店準備してるし「あ、住んでるかもしれない」みたいな。
大陸:「だったら床新しく作るか〜」とか言って、周りも順応する(笑)。 今年いっぱいでCJは伊勢で自分の店を作りに移住するし、メンバーのひとりも新たに北杜にベースを置くので、またろじ屋のメンバーや空間も変わっていくと思います。
一彗:もっとオープンな場所にしていきたいと思っているので、ろじ屋にも関わってくれる人がいたら是非お待ちしております!
多様な動き方、生き方をしている人たちがいる中で、SAMPOの人たちはどんなことを共有しているんでしょうか?
一彗:「生きる」ってとこかな。 全員に共通してるのは、「今の自分たちの生き方や暮らし方、このモーメントいいよね」ってことを共有しているということかもしれません。 僕らは会社でもあり、一緒にプロジェクトをやるコレクティブやクリエイティブチームっていう側面もあるけれど、ライフを共にしているから家族のように思える関係性が多いんじゃないかな。 アウトプットはその地続きにあると思います。
最初から「共に住む」ということを大事にしていたんですか?
一彗:必然的になった、という方が近いかもしれません。 モバイルハウスを作ることって「何が家なのか」ということを考えることだから、それを一緒に作るには一緒に住むしかなかったんですよね。 僕らにとって何が豊かな生活かを考えるためには、生活を共有しないとリアルな話ができない。 結果的に、解像度が高いアウトプットを共有するためには共に住むということが大事だと気づいたんです。
“死なない” 人たちの祭、「住力」。
プロジェクトをやるために集まっているのではなかったとしても、自分たちでものを作り出していくということはSAMPOにとって大事なことですよね。
一彗:モバイルハウスの制作も含め、「自分で作っちゃう」みたいな感覚を一番持っているのが大陸。
大陸:ものを作るときって大体、完成形を想定して、新しいパーツで作っていくじゃないですか。 でも僕は古物を使って、完成形が見えない中で作っていくのが好きなんです。 古物って、一体なんなのか分からないものまであるくらい、自分が意図しない形とか素材だったりします。 それをゼロから、知恵の輪を解くときみたいな頭の使い方をしながら、何万とある組み合わせの中で「ピタッ!」とハマるまで試し続ける。 シンデレラフィットみたいな瞬間があるんですよね。 その場にあるものであり合わせていくブリコラージュ* という手法です。
一彗:自分の身の回りのあるものや自分の身につけるものを自分で作っていくことが、ものを買って消費するより豊かで楽しい。 二足歩行ができるように進化した人間だからこそ、ものを作っていくということはプリミティブで豊かな感性を育ててくれると思います。 結果として、家や生活全体を作れる力が養われていく。
*ブリコラージュ:人類学者クロード・レヴィ=ストロースが著作『野生の思考』で提示した概念。
「CJが気づいたらろじ屋に住んでた」みたいな話も含めて、SAMPOは逞しく生きる力のある人が多いですね。
一彗:映像をやってる陽生(はるき)って人は、アマゾンで120km先の街までボートだけで行く、みたいなトリップをしてたんだけど、食べるものがなくなって、ワニを捕まえて笹の葉で蒸し焼きにしたり。 現地の部族に捕らえられて命が危なかったんだけど、頭が真っ白な状態で遠くに太鼓があったから走っていって、それを本気で叩いたら「お前やるじゃん!」って認められて仲良くなっちゃったり。 ちゃんと死ぬ状況なはずなのに、死なない(笑)。
彼に関しては極端な例ですが、“死なない” っていうのは、人間力や精神力、作り出す力──、そういったいろんなものを含む “地力(じぢから*)”みたいなものです。 元々、僕らがモバイルハウス制作を頑なにお客さんとDIYのワークショップ形式でやっていたのは、そういうこと。 モバイルハウスぐらいの構造物を一人で作れるようになると、本当にどこに行っても死なないと思えるから。
多くの人は、小さなことでもすごく恐怖心を持っていると思います。 全然死なない状況でも、もう無理だ……と思って病んでしまう。 でも「工具さえあれば一旦大丈夫!」みたいな自信があるって大事だと思うんです。 その自信があれば、自分がやりたいことに挑戦する人も増えるのではないでしょうか。
*「地力」は「じりき」と読みますが、今回は一彗さんの言葉でルビを振っています。
祭のタイトル「住力」は、まさにそういう力のことを指しているんでしょうか。
一彗:そうですね。 僕らが生活に必須だと思っている要素「衣食住音美」それぞれの分野の、“地力” の強い人たちを呼んでいます。
例えば「食」領域で参加してくれる「罠ブラザーズ」は、鹿の罠のオーナーになれるサービスを展開しているチームですが、彼らは鹿肉の解体精肉ワークショップを11月22日と23日にやってくれます。 実は、山の保全などのために害獣駆除として殺される鹿の8割はただ廃棄されてしまうんですが、それをできるだけ無駄にせず「いただく」ための仕組みを考えている人たちです。 都心にいてもオンラインで罠を仕掛けられるサービスで、登録すると山や猟師の情報が届いたり、獲物がかかったらそれをジビエとして精肉して届けてくれる。 食用にするだけではなく、鹿の角を使ってアクセサリーを作ったり、「いのちをいただく」ことに対してすごく真摯な人たちで。
11月21日には、福岡「Pinox」のシェフ・水野健児さんが、文明に頼らない食の美学を提案してくれます。 そのとき穫れた玄海灘の魚介や佐賀の猪、庭で栽培したブラックベリー酵母のライ麦パン、自家製の発酵バターやサラミ、酢漬けにしたハーブの花などなど……。 この食体験ではテーブルコーディネートもなく、カトラリーは使わず手で召し上がってもらいます。 パンを器にして、そこにフードをのせて食べることも。 原始的な食体験ができるんです。
「衣」や「美」の領域では、どんな体験ができるんですか?
一彗:「衣」領域では、今年1月1日に起きた能登半島地震の被災者の声から着想を得たワークショップなどを予定しています。 「樂商店(らくしょうてん)」は、災害時にはバッグを持って家から出る時間もなく、着ていた服のポケットに詰めれるだけ詰めて避難したというエピソードから、廃材やハギレを使ってポケットを自分の服にカスタムできるワークショップを行います。 「STARINK(スターインク)」は、長いあいだ家に帰れないまま服が汚れていき、精神的な苦痛があったという声を聞いて、汚れた服をアップデートしていく美学を込めたシルクスクリーンワークショップをひらいてくれます。
一彗:「美」の領域では、輪島塗り八代目・桐本滉平くんの、壊れたものを修復する美学を伝える伝統の金継ぎのワークショップがあります。 また、「廃材や古物を作品に転生する」という考えを持っているアーティストに集まってもらっています。 SAMPOからは、大陸が「壺スピーカー」などを展示しますよ。
今回一番の核となる「音」はどんな人が参加するんですか。
一彗:ハレの日の要としてのバイブレーションを発生させるアーティスト陣には、祈りから祭りまで祝祭空間を作っていただき、豪華なメンバーになっています。 京都の森で木こりもされている魂の表現者の志人さん、ジャンルを縦横無尽に行き交うトラックメイカー・シンガーのermhoiちゃん、アマゾンで出産を行ったコムアイちゃん、千葉で狩猟もされている蛍光灯を楽器にして演奏する伊東篤宏さん……。 11月24日の最終日には、このメンバー全員でセッションが行われます。 コムアイちゃんは演出に関わるから詳細はお楽しみだけど、インドに行ったときに感じた、人のプリミティブな力を表現したいと言ってくれてました。
他の日程では、南アマゾンのシャーマンとの交流の中で育まれた感覚を持って香りのセレモニーを行いながら様々な笛で演奏する宮原創一さんのシャーマニックフルート、様々な民族や儀式にも精通している細野悠太くんと福原音くんの二人組バンド・Chappoのライブ、パリ在住のCOMME DES GARÇONSの音楽ディレクター・ADC303のモジュラーシンセ、能登・輪島から「輪島大祭」の音頭を取る太鼓など、さまざまな文化、アカデミア、都市、自然のコンテクストを横断するパフォーマンスが多数表現されます。
一彗:中央のステージとなる空間には、家のような空間楽器「Hus(ヒュス)」を作ります。 輪島の解体材や関東の間伐材などの廃材で作られた構造体自体が楽器になっていて、中にはセンサーが取り付けられています。 家のように人がそこに関わることができ、アナログで構造を叩いたりして演奏することもできるし、デジタルのセンサーで拾った音を出すこともできる、インタラクティブな楽器です。 センサーの仕組みは、東京大学の招聘教授でパリのデータサイエンス(Acids)チームを指揮しているフィリップ・エスリング(Philippe Esling)さんに担当してもらっています。
一彗:それから、パーカッショニスト陣も素晴らしくて。 まず永井朋生さん。 彼は、その辺に落ちてる石、木、竹なんかも全部楽器に見える人で。 楽器の素材として、ということでもなくて、「これはレの音の石」みたいなレベル。 どんなものでもパーカッションにして音楽を作る人です。 この前も、嵐の日に「雨がステンレスボウルに打ちつける音がとてもいいです」って動画が送られてきて、もう自分で叩きすらしないんだなと(笑)。
そして折坂悠太さんや蓮沼執太さんとも協働する宮坂遼太郎くんは、キッチンの道具やミシンといった、日常の生活に溢れる音やモノを含めた実験的なパーカッションの演奏を行ってくれます。 二人は「Hus」を使って、空間を楽器として扱うパフォーマンスをしてくれたり、お客さんにも参加してもらえるワークショップの時間も11月22日に設けています。 住力でしか見られないセッションが生まれてくる座組になっていますね。
強者大集結ですね。 まさにレジリエントな人たちが一同に会する場であると。
一彗:来てくれる人たちには、ぜひ出店者やアーティストと話してみてほしいです。 かれらがどういう倫理観で、どういう生活を送っているか知ることで、少しでもインスピレーションになるといいなと思います。
“地力” って、別に筋力があるとか技術が超高いとかって話ではなくて。 自分なりの解釈にチューニングしていける力、ということなのかもしれません。 社会においては、お金がたくさんあったり、ラグジュアリーな空間が豊かであるとされている。 でも、「自分にとって豊かさってなんなんだろう?」と立ち止まって視点を変えてみたときに、ゴミになるものに価値があったり、身近なものから発される音が美しかったりすることがある。 チューニングの話なのであれば、誰でも “地力” を持てる可能性があるんです。
有事のときのために、日常的に災害に対する “構え” を持つ
「住力」の背景には、「災害文化」という言葉がキーワードになっているそうですね。
一彗:地震や台風などの災害が起きたときのために、何十年、何百年、何千年と長い目線でコミュニティや伝承といった文化を育てていくことを「災害文化」といいます。 ただ単に防災や、災害が起きた直後の一時的なサバイバルの話だけではありません。
僕は大学院時代、災害文化の中でも祭や儀式に焦点を当てた研究をしていたんですが、その論文に書いた例が分かりやすいかもしれません。 2004年にスマトラ島沖地震がありましたよね。 100年間地震がなかった状態で起きた未曾有の地震だったにも関わらず、シムル島という場所だけはほとんど死者が出なかったんです。 それは、島に伝わる「スモン」(「津波」という意味)という子守唄の中に「地震が起きて、波が引いたら津波が来るから高台に逃げよう」というフレーズが入っていたから。 しかもその島は、自分たちで竹を使って屋台を組んで、そこでたくさん料理を振る舞うということを1年に何回か、定期的にする文化を持っていた。 「在来知」というんですが、そういう「日常の積み重ね」による文化が災害のときに効いたんです。
災害は日常の地続きにある、ということを物語っていますね。
一彗:「天災は忘れた頃にやってくる」というセリフがあると思うんですが、それは当然で、6年くらい経つと人の記憶って風化しはじめるんです。 20年経ったらもう思い出せない状況で、30年経つと世代が変わっていて何も起きなかったことと同じような認識になってしまう、というのは人間のメモリーシステムを持っている以上抗えないことで、だから有事のときに対応ができない。 だったら、年に1回、最低でも6年に1回は繰り返されるような、「ピリオディックなルーティンとしての祭りを日常に埋め込む」ことが大事なんじゃないかと。 「住力」は、一つのルーティンとしての祭なんです。
今年1月1日に起きた能登半島地震からも、影響を受けたのでしょうか。 5月には復興支援に行っていましたよね。
一彗:災害文化を前提にした祭は、大学院時代からやりたかったことでした。 そんな中で今年の初めに地震がきて、今年やろうと決意したんです。
能登半島の輪島には、桐本滉平くんっていう漆芸家の友達がいるので、何かできることはないだろうかと思って行ったんですよね。 実際訪れると、想像以上に倒壊した家屋の解体が進んでいなかったり、大多数の若者たちは金沢などに移り住んでしまって人が少なかったりという状況を目の当たりにしました。 でもそんな状況でも立ちあがろうとする街の人たちはすごくエネルギッシュでポジティブで。 「ボランティアお願いします」みたいな感じじゃなくて、「魚食ってってよ!」っておもてなしのテンション。 最初は瓦礫撤去のお手伝いや倉庫の整理をさせていただいたんですが、その後めちゃくちゃ綺麗な夕日を見せてもらったり、海で石を拾ったり、太鼓を叩いていたらおじいちゃんが「祭りの準備か〜」って寄ってきて一緒に叩いたり……、間違いなくもっとさまざまな支援が必要な状況でも「この街は大丈夫だな」って思わせてくれる精神力を輪島の方たちから感じて、本当に感動しました。
行く前は、物資などが足りてないのかなと思っていたんですが、滉平くんを含む輪島の人は「いま本当に必要なのは生きていくための希望だ」と。 だからこそ、普通に遊びに行ったり人々と繋がっていくことが大事だと捉えています。 8月末には、住力メンバーを含む30人ほどで輪島大祭にも参加させていただいたんですが、祭がこの街の魂を支えているんだということを体感できました。 そのことはVol.2で詳しくお話しできたらと思います。
物質的な支援はもちろん必要ですが、精神的に「大丈夫だ」と思える人との繋がりがより重要なんですね。
一彗:能登だけじゃなく、僕は全員が同じ状況に立たされていると思っています。 もし首都直下型地震が来たら、東京や関東の人たちだってどうなるか分からない。 それは関西でも九州でも一緒で。 だから、いろんな地方の人たちとの繋がり、助け合える関係性を持っておく、というのはすごく大切だと思います。
「住力」は “地力” を持った人たちが一同に会する機会なので、さっき話したように、出店者やそこに参加しているいろんな人たちとちゃんと話してみる、ということをぜひやってほしいんです。 「住力」は祭であり、ハレの日だけど、イベントが終わったら終わり、ではない。 その人たちのライフに、その後も継続的に関わり続けることができる繋がりができたらとても嬉しいですね。 山梨、長野、伊勢、金沢、葉山……いろんな地域でコミュニティを持ってる人たちが集結するので絶対楽しいですよ!
今回の「住力」を終えたあとも、「住力」がいろんなところで続いていくといいですね。
一彗:そうですね。 日本各地でもやりたいし、もしかしたら国外でやってもいいかもしれない。 でも必ずしも「住力」って名前である必要はなくて。 今回参加して、何か気づきやインスピレーションを受けた人たちが勝手に「小住力」的なイベントを起こしてくれたりしたら嬉しいですね。 呼んでくれたら僕らも遊びに行きたいしね!
「住力」11月21日〜24日のラインナップ
*ワークショップやラインナップは時間を変更する可能性がありますので、Instagramで詳細をご確認ください。
11月21日(木)16:00-21:00
レセプションパーティー/建築インスタレーション/LIVEパフォーマンス/Reception Food
LIVEパフォーマンス出演者
宮坂遼太郎/永井朋生/蜻蛉-TONBO-/Philippe Esling/ADC303
ワークショップ情報
17:00〜 20:30 <食>「水野健児 Presents : Recption Food」*予約可能
福岡県に1日1組限定レストラン「Pinox」をオープンした水野健児による原始的な食体験
11月22日(金)12:00-21:00
マーケット/ワークショップ/LIVEパフォーマンス
LIVEパフォーマンス出演者
HARI RKUDA/Moro Moro/Hus演奏ワークショップ(宮坂遼太郎、永井朋生、桐本滉平)/Snaketime/トークセッション(太田光海+塩浦一彗+桐本滉平)/Chappo/DJ Lawson
ワークショップ情報
12:00〜19:00 <美>「漆芸作家・桐本滉平の金継ぎワークショップ」*要予約
破損した陶磁器をご持参いただく金継ぎワークショップ(その後桐本が皆様の器をお預かりし、輪島にて1〜3ヶ月かけて仕上げたものを返送いたします)
14:30〜16:00 <食>「鹿肉解体精肉ワークショップ」*要予約
日々当たり前に行う「食べる」について考え直す、「罠ブラザーズ」による鹿肉の解体精肉ワークショップ
14:10〜15:00/18:00〜19:00 <音>「Hus演奏ワークショップ」
Eslingによる、アナログとデジタルのセンサーを使った楽器空間「Hus」の演奏体験
常設 <衣>「衣服カスタムワークショップ」
廃材やハギレ、汚れた服を、修復しながらオリジナルに変えていく体験。 「樂商店」と「STARINC」による、ポケットカスタム&シルクスクリーンワークショップ
常設 <食>「しめ飾りワークショップ」
無農薬・無施肥で稲作に取り組んでいる「TSUMUGI」による、収穫後に残る稲藁を使ったしめ飾りワークショップ
11月23日(土)13:00-21:00
マーケット/ワークショップ/LIVEパフォーマンス
LIVEパフォーマンス出演者
宮原創一/宮坂遼太郎/Snaketime/Yoshitake Expe/空中水泳/蜻蛉-TONBO-/東京月桃三味線/志人
ワークショップ情報
12:00〜19:00 <美>「漆芸作家・桐本滉平の金継ぎワークショップ」*要予約
破損した陶磁器をご持参いただく金継ぎワークショップ(その後桐本が皆様の器をお預かりし、輪島にて1〜3ヶ月かけて仕上げたものを返送いたします)
14:30〜16:00 <食>「鹿肉解体精肉ワークショップ」*要予約
日々当たり前に行う「食べる」について考え直す、「罠ブラザーズ」による鹿肉の解体精肉ワークショップ
常設 <衣>「衣服カスタムワークショップ」
廃材やハギレ、汚れた服を、修復しながらオリジナルに変えていく体験。 樂商店とSTARINCによる、ポケットカスタム&シルクスクリーンワークショップ
常設 <食>「しめ飾りワークショップ」
無農薬・無施肥で稲作に取り組んでいる「TSUMUGI」による、収穫後に残る稲藁を使ったしめ飾りワークショップ
11月24日(日)13:00-19:00
マーケット/BLACK SMOKER ディレクション LIVEパフォーマンス
LIVEパフォーマンス出演者
空中水泳+Suimin/KILLER-BONG/ermhoi/伊東篤宏/波多野敦子/ermhoi+伊東篤宏+波多野敦子+コムアイ+志人
ワークショップ情報
常設 <衣>「衣服カスタムワークショップ」
廃材やハギレ、汚れた服を、修復しながらオリジナルに変えていく bv体験。 樂商店とSTARINCによる、ポケットカスタム&シルクスクリーンワークショップ
常設 <食>「しめ飾りワークショップ」
無農薬・無施肥で稲作に取り組んでいる「TSUMUGI」による、収穫後に残る稲藁を使ったしめ飾りワークショップ
オールデイで出店するマーケット
<衣>「樂商店」
“着やすさ” と ”動きやすさ”を軸にデザインから縫製まで一貫して手作りした「樂オリジナルエプロン」を中心に、レスキューした布や古着をさまざまな形のエプロンに作り替えて販売。
<衣>「Pablo Griniche」
現代病の治療をコンセプトとするブランド。 パラシュート生地とシルクを使った、軽量で温かいパッカブルなドライバーズブルゾンを「住力」限定で販売。
<衣>「KMN project(キモノプロジェクト)」
全国各地で「日常に着物がある風景づくり」をPOPに届ける。 大量に余っていて捨てられてしまう予定の着物や和装アイテムを全て500円で販売。
<食>「CURRY JOCKEY」
各地に赴き、DJのようにその時・その場に合ったカレーをジョックしている。 今回は、「罠ブラザーズ」の鹿肉や、「TSUMUGI」のハーブなど全てをかけ合わせた「住力カレー」をジョック。
<食>「TSUMUGI」
誰もが “生産消費者”として、生活のつくり手になるきっかけを提供するコレクティブ。 今回は、都市農園産のハーブティーとはちみつハーブドリンク、そして都市生活者が協働して育てた無農薬・無施肥のはざ掛け米を炊き出しとして提供。
<食>「提灯東京」
「海外から見たIzakaya」をコンセプトに、銭湯の軒先からケータリング、はたまた音楽フェスまで神出鬼没に出現。 今回は、即席IZAKAYAを廃材で構築。
<食>「環境」
衣食音住を1人で表現する “みーくん” が、TSUMUGIの手植え・手刈りのはざ掛けコシヒカリと、BLACK SMOKERの黒煙米(コシヒカリ)、TSUMUGIの手作り味噌を使った味噌汁の炊き出しを行う(1日1人1杯まで無料)。
<食>「BECK COFFEE LOUNGE」
三重県を拠点に活動するカフェバー/ギルド型のクリエイティブレーベル。 「住力」Official Barにて、発酵ドリンク、日本酒、コーヒーをセレクトして販売。 Official Barの空間デザインも担当。
<美>「志礼知也」
イベント会場を家のように扱えるくらいに、「住む」ということを意識して制作するライブペイント。
<美>「Bash Box」
SAMPOの新拠点である、山梨県北杜市のインスピレーションショップ。 展示ラウンジゾーンを展開。 音響生命体「LEAK」も展示。
<美>「GOOD DAY MATE」
「R.I.P. Charm」でも知られる改造家の久山ドナルド宗成さんによる、ぬいぐるみを改造したスピーカーを展示。 キッズゾーンも展開。
<美>「All Tomorrow’s Parties」
町田の古物百貨店。 サイバーパンク化したオブジェシリーズを展示。
住力
都市や自然、生きることを横断する体験型衣食音住美複合型総合芸術イベント。
災害文化を育むハレとケの狭間で響く文化的ミクロレジリエンス
日時:2024年11月21日(木)〜11月24日(日)
場所:青山 ドイツ文化会館(ゲーテ・インスティトゥート東京)東京都港区赤坂7-5-56
村上 大陸(むらかみ りく)
1996年生まれ。 大工/作家。 軽トラの上にセルフビルドしたモバイルハウスを自宅兼オフィスにしてVRの会社を経営していた。 モバイルハウス生活をしながらVirtual Realityについて思考するうちにRealが圧倒的であると感じ、モバイルハウスの事業に転換し塩浦一彗と共にSAMPOを創業。 古物を用いたブリコラージュを得意とし、音響作家Snaketime Worksの名でオリジナルスピーカーも手がける。
塩浦 一彗(しおうら いっすい)
1993年生まれ。 建築士。 3.11の二日後、親に飛ばされミラノに避難。 ミラノの高校を卒業し、ロンドン大学UCL、Bartlettで建築を学ぶ。 2016年に帰国。 建築新人戦2016最優秀新人賞受賞。 その後、建築事務所に就職。 都市計画等Internationalなプロジェクトに携わるが、Top downの都市の開発に疑問を覚え、元々興味を持っていた動く家、対話するための現代版茶室、家賃を払わなくていい家を体現するためにSAMPOを村上大陸と創業。 ミクロな自然現象を扱う指輪作家でもあり、建築家でもある。
Photos:Taiki Kishiyama
Words&Edit:Sara Hosokawa