今、世界的な再注目の最中にあるアナログ・レコード。 デジタルで得られない音質や大きなジャケットなどその魅力は様々あるが、裏面にプロデューサーやバックミュージシャン、レーベル名を記した「クレジット」もその1つと言えるだろう。
「クレジット」――それは、レコードショップに並ぶ無数のレコードから自分が求める一枚を選ぶための重要な道標。 「Credit5」と題した本連載では、蓄積した知識が偶然の出会いを必然へと変える「クレジット買い」体験について、アーティストやDJ、文化人たちが語っていく。 あの人が選んだ5枚のレコードを道標に、新しい音楽の旅を始めてみよう。
小袋成彬が考える「アナログ・レコードの魅力」
塩ビに溝を掘って、その音をアンプで倍増させて、スピーカーで鳴らすというプロセスに、人類の知恵が凝縮されている。 デジタルよりも音がふくよかで暖かく、わざわざレコードをかけるという行為自体に人の温もりも感じる。
誰でもどこでも音楽が聴ける時代において、そんなレコードの魅力を体験できる人は一握り。 そこに集まる人たちが好き。
小袋成彬が「クレジット買い」した5枚のアナログ・レコード
Herbie Hancock『Direct Step』
ジャズにハマるきっかけになったレコード。 友達のDJのTheoからプレゼントで貰った。
1979年に日本のCBS・ソニーで録音されたらしいので、クレジットに日本人がたくさんいる。
Miles Davis『In A Silent Way』
神戸の大丸のレコードフェアで見つけた一枚。 京都のクラブで明け方にかけたのがいい思い出。
Petrolz『Ranhansha』
自分のレーベルTOKA(トウカ)からの1枚。 大好きなエンジニアのラッセル・エルバド(Russell Elevado)と仕事ができたのも嬉しかった。 良い音響で聞くと、温かくて太い音がでる。
Brian Jackson and Gil Scott-Heron『Winter in America』
リスニング用のレコードとしては永遠のスタメン。 友達との会話が弾むし、聞き入ってしまう瞬間もある。
Kamashi Washington / Gregory Porter『Kai Alce Interpretations』
レコードは基本的にジャズとハウスを中心に集めているが、これはその2つの要素が見事に融合した傑作。 いまや入手困難な激レア盤。 サブスクにないのも嬉しい。
Edit: Yusuke Ono