モジュラーシンセサイザーやドラムマシンを駆使したエレクトロニックサウンドと自身のヴォーカルにより、時にアトモスフェリック&エクスペリメンタルな、時にミニマル&グルーヴィな音世界を確固たる美意識に基づき紡ぎあげる韓国出身・東京拠点のアーティスト、machìna。 2021年にはベルリンの由緒正しきクラブ/レーベルである〈Tresor(トレゾア)〉のコンピレーション『Tresor 30』にトラックを提供し、2023年にはリッチー・ホウティン(Richie Hawtin)がエレクトロニックミュージックシーンの先進的なアーティストたちと共に北米で行ったツアー「From Our Minds – To Be Announced 2023 tour」に参加するなど、彼女の活動の場は国境を越え広がり続けている。

大学ではジャズを学び、K-POPアーティストとしての活動歴を持つmachìnaは、いかにしてエレクトロニックミュージックへと目覚め、自らの表現をアップデートし続けてきたのか。 バックグラウンドや制作環境・機材、近年の活動などについて、インタビューを通して紐解いていく。

エレクトロニックミュージックを制作するようになったきっかけ

現在はエレクトロニックミュージックのアーティストとして活動されていますが、バックグラウンドにはジャズを学ばれていたり、K-POPアーティストとして活動していた経験があるとお聞きしています。 どのようなことがきかっけになり、エレクトロニックミュージックのアーティストとしてのキャリアをスタートさせたのでしょうか?

幼い頃から音楽家になりたいと自分で決めていて、音楽というカテゴリーの中で何でも試してみるのは良いことだと思っていました。 その考えが今でもずっと続いているのです。 エレクトロニックミュージックは、日本に拠点を移した時にアナログシンセなど今まで見かける機会がなかったいろいろなシンセサイザーと出会って、そこから「これを使って音楽を作ってみたい」と興味を持ちました。

ジャズやポップミュージックとは別のカテゴリーであるエレクトロニックミュージックのどんなところに魅力を感じていますか?

エレクトロニックミュージックは電気を使ったサウンドメイキングから音楽制作が始まる。 そのために色々な実験が行えるなど、これまで私がやってきた音楽よりも格段に自由度が高いところに魅力を感じています。

日本に来るまではアナログシンセに触れる機会がなかったとのことですが、それまではどんな楽器を使って音楽を作っていたのでしょうか?

大学時代は、ジャズボーカルを専攻していたこともあり、ピアノやギターなど、アコースティック楽器を使って作曲をしていました。 また、自分の周りには、当時の韓国ではアナログシンセを使っている人が少なく、K-POPのような音楽になるとDTMが主流だったため、基本的にはソフトウェアで音楽を作る人が多かったんです。

アナログシンセのどのようなところにアコースティック楽器にはない魅力を感じていますか?

アナログシンセは、アコースティックとは違い、生まれてからまだ60年くらいしか経っていないため、楽器の歴史で見るとモダンな楽器に分類できると思います。 アナログシンセでは、アコースティック楽器には不可能なこれまでに世の中に存在しない音を新たに作り出せます。 その楽器としての自由度の高さに魅力を感じました。

学んできた歌を活かすためのモジュラーシンセ

machìnaのモジュラーシステムはIntellijel DesignsのエフェクトモジュールRainmakerや、Make NoiseのサンプリングモジュールMorphagene 、Mutable InstrumentsのオシレーターモジュールBraidsなどから構成されている。
machìnaのモジュラーシステムはIntellijel DesignsのエフェクトモジュールRainmakerや、Make NoiseのサンプリングモジュールMorphagene 、Mutable InstrumentsのオシレーターモジュールBraidsなどから構成されている。

アナログシンセの中でもモジュラーシンセを使い始めた理由を教えてもらえますか?

アナログシンセに興味を持ち始めてからそのルーツをたどっていくと、モジュラーシンセと出会いました。 音的にも、見た目的にも一気に魅了されましたが、自由度が高くて、値段も安くはないので、自分のものにするためには使う目的をはっきり決めることが大事だと思いました。

そこで情報収集を兼ねて、しばらくの間、都内で行われているモジュラーシンセのイベントに参加しました。 その時に知り合った齋藤久師さんやモジュラーコミュニティのメンバーから、使い方などいろいろなことを教わりました。

では、いつ頃自分のモジュラーシンセを揃えられたのでしょうか?

半年くらいイベントに通い続けた頃には、自分が作りたい音楽のために必要なものがほとんどわかるようになりましたね。

ちなみにモジュラーシンセのイベントでは、出演者や参加者の間で機材の売買がよく行われています。 そのため、私も自分に必要な機材が見つかった際にすぐに購入できるように、常に現金で10万円くらいを持ち歩いていました(笑)。

その頃に購入した機材のひとつが、今も使っているモジュラーシンセのケースです。 これは、イベント会場で知り合った人から「モジュラーシンセを始めるなら最初にケースが必要だ」とアドバイスを受けて購入したものです。

モジュラーシンセのイベント時に購入したIntellijel Designsのケースは今も現役。
モジュラーシンセのイベント時に購入したIntellijel Designsのケースは今も現役。

当時はどんな音楽をモジュラーシンセで作りたかったのですか?

ひとつ大事にしてるのは、それ自体を使いたいから使うのではなく、音楽を作るためのツールとして使うということ。 モジュラーシンセの使い方は人それぞれですが、例えば、独特なオシレーターがあることで、ノイズ的に使う人も当時通っていたイベントではよく見かけました。

私としては、音楽のスコアを活かして歌える曲の中で(モジュラーシンセを)使ってみたいと思いました。 モジュラーを使うことによって、音質の良さやミニマムな作曲が可能であるというメリットを活かしながら、自分の歌とリズムを加えた音楽を作りたいと思ったんです。

ハード機材とDAWを組み合わせたセットアップへと辿り着いた理由

ハード機材とDAWを組み合わせたセットアップ

モジュラーシンセとDAWのAbleton Liveを組み合わせたセットアップで作曲やパフォーマンスを行っていますが、このセットアップに行き着いた経緯を教えてもらえますか?また、現代的な機材であるDAWを併用することにどのようなメリットを感じていますか?

自分の音楽のスタイルやライブセットだと、演奏と並行して歌を歌うことが多いのですが、DAWを使用するとその切り替えが非常に簡単になります。 特にパフォーマンスをする時、モジュラーシンセだけだと、それは不可能ではないものの、普段自分が使用しているセットアップよりも大規模なものが必要になってしまいます。

ライブセットの移動なども考えると、セットアップの規模をこれ以上大きくしてしまうのは、持ち運びの面で現実的ではありませんでした。 自分は普段一人で移動することが多いのですが、既に重たい機材がこれ以上重くなると、運ぶことができなくなります。 だから、モジュラーシンセとDAWのハイブリッドスタイルを採用する理由には、そのような問題を解決するという目的も含まれています。

しかし、作曲をする時は、モジュラーシンセから得意なシーケンスを試すことが多いですね。

ちなみに最近は、ビンテージのアナログ機材の質感を再現する「フィジカルモデリング」技術が発達したことでデジタルでありながら、アナログの質感を表現できる機材も増えていますが、基本的に音作り自体はモジュラーシンセだけで行われているのでしょうか?

最初の頃はモジュラーシンセだけで作業を行っていました。 その理由は、プラグインよりも音質が優れていると感じたからです。 でも、最近はモジュラーシンセだけでなく、プラグインを使用することもあります。 5〜6年前と比べて、音質が大幅に向上していますし、特にリバーブやディレイはライブセットでBPMを合わせやすかったりするので、プラグインで十分に代用できると思います。

ただし、基本的にはモジュラーシンセで作った音を録音し、それをDAWで編集して使用しています。 その時もやっぱりアナログの音の良さが際立つと感じます。 今後はそういったモダンな機材を今以上に使用することもあると思います。 例えば、ビンテージのリバーブを使用したい場合、それをエミュレートしたプラグインがあれば、自分がイメージする質感に近い音が得られると思います。 だから、その点については柔軟に考えても良いと思っています。

モジュラーシンセとのセッションから生まれた前作『Compass Point』と、ドラムマシン/サンプラーだけで制作した最新作『Action』

機材について語るmachìna

現在はソロで作曲からパフォーマンスまでを行っていますがご自身の活動において、機材をどのような存在として位置付けていますか?

音楽制作のインスピレーションを得るという意味では、モジュラーシンセは自分の創作に必要不可欠なパートナーであり、遊び相手になっていますね。 モジュラーシンセの魅力は、そのランダム性にあるので、単に色々パラメーターをいじりながら遊んでいるだけでも良いフレーズのアイデアが沢山でてきます。 そういった偶然から生まれたフレーズを使うことは多いです。

いつもそういった遊び感覚でモジュラーシンセを使うことから音楽制作を始めると?

今年1月に『Action』という最新アルバムをリリースしましたが、そのひとつ前のアルバム『Compass Point』は、1ヶ月ほど白馬に家を借りて制作しました。 その最初の2週間で毎日行っていた遊び感覚のジャムセッションで生まれたフレーズを使用し、残りの2週間でそれを編集して完成させました。 特に歌が入った曲は、このようなジャムセッションからアイデアが生まれ、特定のフレーズを作りたいというアイデアがあれば、それに近づけるためにジャムセッションで色々と試してみました。

ただし、制作プロセスは場合によります。 歌のメロディーから作り始めることもありますし、逆にトラックから作り始めることもあります。 でも、基本的にはその曲全体を通して、映画を観ているような雰囲気を感じられるものにすることを目指しています。 そのために一体感を出すことを重視していますね。 例えば、歌が入った曲では、キーワードやテーマを決めてから音作りを始めます。 これにより、音が歌の世界観に寄せられ、曲全体に一体感が生まれます。

なるほど。 そうして作った音を先ほどのお話にあったようにDAWに入れて、曲を完成させるのですね!

そうですね。 『Compass Point』まではこの方法で曲を作っていました。 でも『Action』は、モジュラーシンセもDAWも使わずにElektronのアナログドラムマシン/サンプラーのanalog rhym km2だけで作りました。 だから、ここ1年間はこのドラムマシン/サンプラーと一緒に旅をしているような感じでしたね。

新しい制作手法を取り入れたことで表現が変わった部分はありますか?

全体的にすごく変わりました。 モジュラーシンセや先ほどのanalog rhythm mk2のようなハードウェアが素晴らしいところは、シーケンスにあると思っています。 パソコンを使うDAWは、モニタリングする際の画面が大きいこともあって視覚情報が入りやすいため、作曲する時にどうしても頭で考えがちになります。
一方、ハードウェアはモニターがなかったり、あったとしてもパソコンと比べると小さいため視認性が低く、その分感覚的になれます。 その違いはシーケンスを組む上でも非常に大きいですね。 それに、この作曲方法から生まれるものもあると思っています。 そういった感覚的に音楽を生み出せるところが気に入っています。

最新作『Action』で活躍したElektron の8ボイスのアナログドラムマシン&サンプラーAnalog Rytm MKII。
最新作『Action』で活躍したElektron の8ボイスのアナログドラムマシン&サンプラーAnalog Rytm MKII。

特に『Action』は、音楽の身体性を意識した作品なので、リズムを重要視していました。 だから、作っている時も踊りながら作っていたというか、耳でハードウェアから鳴る音を聴きながら感覚的に作っていきましたね。 そういう意味では、DAWよりも作曲しやすいと思います。 この作品はダンスミュージックを意識した内容ですが、ダンスミュージックの本質はやはり踊ることにあると思います。 もちろん、そういう音楽の中にもしっかりと聴き込んでほしいものもありますが、このアルバムでは自分が一番好きなミニマルなダンスミュージックで人を踊らせたいと思っていました。 また、人を踊らせるのであれば、ドラムマシンが必要だろうということでドラムマシンの導入を決めました。

ベルリンでの生活やシーンの先人であるリッチー・ホウティンからの影響

Elektronのanalog rhym km2

『Action』を制作する上で何かインスピレーションを受けたものはありますか?

この2年間、夏をベルリンで過ごしていたことは影響源になっていると思います。 音楽についても、パーティーをする時に熱気あふれる態度でみんなが楽しんでいるのを見て、改めてダンスミュージックの楽しさを感じられたんです。 その後、私も自分らしいダンスミュージックを作ってこのシーンに参加したいと思い、『Action』を企画しました。

ドラムマシン/サンプラーがいくつもある中で、Elektronのanalog rhym km2を使用されている理由を教えてもらえますか?

個人的にElektronはシーケンスの機能では一番自分がやりたいことに向いている機材だと思ったのが大きな理由の1つです。 アナログエンジンとサンプルを混ぜて音づくりができるところも気に入っていますね。

以前からダンスミュージックを作りたいという気持ちはあったのでしょうか?

それまでは一人で家にこもって音楽を作ることが多かったのですが、ツアーで様々な場所を旅しているうちに、自分の中で新しい発見がありました。 それがきっかけとなって、みんなで楽しめるような、自分が好きなダンスミュージックを作ろうと思うようになりました。 その後、たまたまリッチー・ホウティンさんとの共演が決まり、彼に自分の音楽を聴いてもらったことで、一緒にワールドツアーを行うことも決まりました。

リッチー・ホウティンさんもフルアナログのDJミキサーを手掛けられる一方でモダンな機材を駆使したオーディオビジュアルライブを行うなど、アナログとデジタルを行き来した表現に取り組まれている印象があります。 一緒にワールドツアーを行ったことで何かインスピレーションを受けた部分はありますか?

たくさんのことを学ばせていただいたのですが、一番大きいところでは、一流アーティストでありながらも、止まることなく次々に新しいものを提案してくる革新性に影響を受けています。 そういう彼の音楽に真摯に向き合う姿勢を見ていると、いつも勉強になりますし、もっと頑張りたいと感じます。

新しいプロジェクトや音楽のお話をしている時の彼の表情は、子供のように無邪気で、そこからも音楽を楽しみながら続けていることが伝わってきます。 そういう意味では、アーティストとして、自分の色を持ったとても幸せな人生を見つけて、音楽を続けている素敵な人だと思います。

ライブミュージックシーンとダンスミュージックシーンの垣根を越えるために必要なこと

2023年にSuper DOMMUNEで行われた ‘Action’ のライブセット。

近年は、東京や大阪でモジュラーシンセのフェスが行われているほか、ホームスタジオで録画したモジュラーシンセやハード機材のパフォーマンス動画をSNSで公開する人も増えるなどハード機材を使った音楽制作の人気が再燃しています。 現在の状況をどのように捉えていますか?

モジュラーシンセを使って音楽を作りたいという気持ちは、音質を重視したいという気持ちの表れだと思います。 もちろん、モジュラーシンセのメカニカルな見た目はかっこいいと思いますが、始めるにはコストがかかりすぎるし、それなりに重たいため運ぶのも大変です。 だから、単に音楽を制作するという目的であれば、あえてモジュラーシンセを選ぶ必要はないと思います。

現在、日本でもモジュラーシンセなどのハードウェアを使ったライブミュージックシーンは、数年前と比べて大きく成長しました。 ただし、それはあくまで以前との比較であり、実際には世界的に見てもその規模はまだ小さいと言わざるを得ません。

また、DJと一緒にライブミュージシャンが出演しても、結局、DJには敵わないというか。 なぜならDJは世界中から集めた自分が良いと思う音楽をミックスして、その場を盛り上げる役割を果たしているからです。 そのため、自分の世界観だけを表現するライブセットをDJとDJの間で披露したとしても、そもそもの音楽表現の目的が異なるため、勝負にはなりません。

特にクラブにはダンスを楽しみたいという目的で訪れる人が多いため、そういった人々に対して目的と異なるものを見せられたら、受け入れられるのは難しいと思います。 だから、DJに負けないインパクトを与えるためには、モジュラーシンセのコミュニティに向けたものではなく、その枠を超えるパフォーマンスが必要だと思います。 そして、そのようなことが可能になれば、ダンスを目的にクラブに遊びに来る人にもモジュラーシンセの良さやハードウェアを使ったライブの魅力が伝わると考えています。

日本と海外のシーンに対する所感と今後の展望

モジュラーシンセのイメージ

DJと共演する時のライブの難しさは、海外よりも日本でライブをする時の方が強く感じますか?

基本的には海外も日本もあまり変わらないと思います。 ただし、例えばベルリンのようなコアなシーンが存在する場合は、話は別です。 海外の様々なクラブでDJと共演した経験から、DJとハードウェアライブは別物であり、客層も異なり、楽しみ方も違うと感じています。 その認識から、現在は自分のスタイルをダンスミュージックのコミュニティでも通用するように改良しようとしています。

ただし、これはあくまで私個人の見解です。 もちろん、モジュラーシンセのコミュニティが広がっていること自体は嬉しく思っています。 モジュラーシンセイベントには男女問わず多くの人が参加するようになりました。 私のライブを見た若い男性から「machìnaさんのようなライブができるようになりたい」と言われたり、若い女性の中には「machìnaさんのライブを見てモジュラーシンセを始めました」と言ってくれる人もいます。 そういうことは少し前までは考えられなかったことです。

ちなみに海外と日本のクラブカルチャーのどのようなところに違いを感じますか?

自分が感じる日本の文化は、独特な他にはない雰囲気だと思います。 例えば、公共の場で感情を露わにすると、他人に対して失礼な行為となるという感覚が強いです。 そのハイマナーのところが音楽にも影響を与えて、すごく静かに音楽を聴く文化(雰囲気)をつくり出しているようですね。
初めて海外で演奏していた時(2018年のSXSW)、ステージでオーディエンスの反応を聴きながら、セットが盛り上がる——そして、それがまたオーディエンスにエナジーを伝える、という「会話」のマジックを感じ、とても感動した覚えがあります。 それぞれ良さはありますが、自分が演奏している音楽でみんな一緒に踊ってもらえるのを見るのは、いつも嬉しいですね!

今後、音楽制作やライブパフォーマンスにおいて、導入したいアナログ機材はありますか?

今はanalog rhym km2を使いこなせるようになりたいので、特に新しい機材の導入は考えていません。 ただ、作曲自体はできても、analog rhym km2だけでは出音が丸すぎるので、実はElektronのAnalog Heat MKIIというエフェクターも一緒に使っています。 これをマスタートラックに適用することで音にサチュレーションを加えていますが、もうひとつくらいエフェクターがあっても良いと思っています。 でも、具体的に導入したいものとなると、今の段階では名前を挙げるのは難しいですね。

現在は、ドラムマシン/サンプラーを用いながらクラブミュージックに軸足を置いて活動しているということですが、今後、またモジュラーシンセに回帰する可能性やあるいはその2つを組み合わせたスタイルで音楽活動を行う可能性はありますか?

最近は、現在のスタイルをさらに発展させるために、パターンの組み合わせ方のアイデア作りに集中しています。 ただし、今後はそれだけでなく、リズムはドラムマシンやサンプラーで作り、メロディーは以前のようにモジュラーシンセで作成し、そこに歌を乗せるスタイルも試してみたいので、そういったデモも制作しています。

現在は東京を拠点にヨーロッパを中心に海外でも活躍されていますが、今後の音楽活動の展望について教えてもらえますか?

基本的に、東京とベルリンを移動しながら活動していきたいですね。 今まではインディペンデントで頑張っていましたが、今年からは音楽レーベルなどを探してチームを持ちながら、もう少し積極的に世界に向けて活動していきたいと考えています。

machìna

東京を拠点に活動する韓国人アーティスト。 テクノロジー、アナログ機材、ヴォーカルのコラボレーションを通して、独自のエレクトロニックミュージックを制作・発表する。

2021年、ベルリンの伝説的なクラブのレコードレーベルTresorの30周年を記念した12インチ×12枚のコンピレーション作品『Trasor30』に参加。 同年にはイギリスのエレクトロニックミュージックデュオ、Bicep(バイセップ)の人気曲「Hawk」にヴォーカルがフィーチャーされ、また、ロンドンのUTTUレーベルからデビューEP『Trusted』をリリース。

2023年、1年を通して定期的にリリースされるダンストラックシリーズ/プロジェクト ‘Action’ を展開。 リズムとサウンドの決定的な調和にインスパイアされ生まれたトラックは各所で反響を呼び、「Respect」はミュウミュウのキャンペーンに、「choom」はナイキのキャンペーンに起用された。 同年には、リッチー・ホウティンによる「From Our Minds – To Be Announced 2023」ツアーに参加し、ヨーロッパとアメリカ全土で『Action』をベースとしたテクノセットのパフォーマンスを披露した。

2024年、‘Action’ シリーズを総括する全9トラックのアルバム『Action』を発表。 現在、次作に向けて制作を行っている。

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Interview & Text:Jun Fukunaga
Photography:Kentaro Oshio
Edit:Takahiro Fujikawa