日々の生活をより豊かなものにする音楽をさらに深く楽しむためのツール、それがオーディオです。 キッチンでもシャワールームでも、お家の中のどこにいても音楽を聴くことができるようにしてくれるBluetoothの小型スピーカーも一種のオーディオ。 しかし、多くの人にとって、いわゆる “オーディオ” という言葉で連想されるのは、手軽なワイヤレスのスピーカーではなく、ケーブルで「アンプ」と繋がったスピーカーの姿ではないでしょうか?今回は、そんなアンプについての基礎知識や選び方について、音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家の生形三郎さんに解説していただきました。

そもそもアンプとは?

オーディオを始めるにあたって、わりと最初に出てくるのが「アンプってなんだ?」という疑問だと思います。 アンプとは「amplifier(アンプリファイア)」の略で、増幅する機器のことです。

CDプレーヤーやレコードプレーヤーは、CDやレコードに記録されている音楽のデータを読み取って再生しています。 しかしそのデータの信号は非常に小さいためそのままでは聴こえづらく、音を楽しむことはできません。 そこで、アンプを使って信号を増幅させるのです。

レコード再生では「フォノイコライザーアンプ」と呼ばれるものが出てきますね。 これも一種のアンプで、レコードプレーヤーに搭載されたカートリッジが発電した小さな信号を、大幅に大きくするためのものです。

AT-PEQ30

フォノイコライザー

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スピーカー再生には、 “プリメインアンプ” がおすすめ

一般的にオーディオシステムで「アンプ」というと、スピーカーを駆動するためのアンプを指します。 これは、CDプレーヤーやスマホなどのプレーヤーが出力した音声信号を、スピーカーで聴けるように大きくします。

スピーカーでの再生のために用いるアンプとしてもっともポピュラーなのは「プリメインアンプ」や「インテグレーテッドアンプ」と呼ばれるものです。 これは、様々な機能が「統合」されたもので、 ”プリアンプ” と呼ばれるボリューム調整を行なう部分と、 ”パワーアンプ(メインアンプ)” と呼ばれる2つのアンプが一体化したものです。 最近では、先述したフォノイコライザーアンプは勿論、各種デジタルプレーヤーの機能を組み込んだものが増えてきており、ストリーミング再生やテレビのHDMI出力を入力できるものがトレンドとなっています。

また、信号の増幅方式でも種類が分かれており、先ほどのトレンドのアンプ類はそのほとんどが「トランジスタ」などを用いて増幅するアンプです。 逆に、純粋にアンプだけの機能を持ったものでは「真空管」を用いたものがあります。 こちらはレコードと同じく、独特な音質の魅力やモノとしての魅力を強く持つものも多い傾向にあります。

真空管アンプについてはこちら

聴きたい音源を再生できるアンプを選ぼう

初めてのアンプ選びは、「スピーカーに ”どんな機器” を接続して音楽を再生したいか」を基準に選ぶとよいでしょう。 例えば、レコードプレーヤーだけをシンプルに接続して楽しむのであれば、フォノイコライザーアンプを内蔵したプリメインアンプがあればよいでしょう。 なお、レコードプレーヤーに内蔵されている場合は、フォノイコライザーアンプ機能がなくても構いません。

レコードプレーヤーだけでなく、スマホからBluetoothでも繋ぎたい場合はBluetooth接続対応のアンプを選ぶのが良いでしょう。 TVを接続したい場合はHDMI入力を持ったものを選んだり、ネットワーク入力を持ったものを選べば、アンプ本体だけで高音質なストリーミングサービスやインターネットラジオを楽しむこともできます。

とにかくまずは、自分が持っている、または聴きたいメディアを再生できる機器を選んで、オーディオ機器による素敵な音で聴き慣れた音源を楽しんでみてください。 きっと、これまで以上の喜びがその音楽から得られることと思います。

Words:Saburo Ubukata

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