レコードやアナログって、流行ってるけど実際どうなの?「円盤好子のアナログジャーニー」では、レコードの魅力をビギナー目線でお伝えしていきます。
第19回のテーマは「有線、Bluetooth、それぞれの良さ」。 レコードプレーヤーを選ぶときにはどちらを選ぶべきか、自分にはどちらが合っているのかなど、検討中のあなたに押さえてほしいポイントをご紹介します。
こんにちは、円盤好子です。 価格やデザイン、機能性など「レコードプレーヤーを買う!」となったら悩むポイントがいくつかあると思います。 スピーカーとの接続は有線タイプを選ぶか、はたまたコードレスのBluetoothタイプにするかはひとつの分岐点ではないでしょうか?
私なりに考えると「有線は充電切れがない!」「Bluetoothはどこでも聞ける!」というそれぞれのメリットが思い浮かびます。 でももっとそれぞれの良さがあるはず…アナログ初心者の私にはお伝えできないポイントを今回はオーディオのプロフェッショナル、さぶろう先生にバトンタッチして解説していただきます。
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円盤さんからバトンを受け取りました、コアラのさぶろうです。 最近、アナログレコード市場の拡大とともに、Bluetooth接続対応のレコードプレーヤーが増えてきましたね。 そこで、レコードプレーヤーを選ぶにあたって、ケーブルを繋ぐ有線タイプが良いのか、はたまたBluetoothタイプが良いのか、私が考えるそれぞれの良さについて触れてみたいと思います。
まず、Bluetoothならではのメリットですが、私は大きく「3つ」あると考えます。
(1)手軽にレコード再生のエッセンスを楽しめる
レコードの再生は、原理が極めてアナログなだけに非常に奥深いものです。 それだけに、揃える道具や機器が多くなったり、セッティングや接続が煩雑になったりします。 そんなレコード再生をシンプルなセッティングで手っ取り早く楽しむことができる、それがBluetooth接続の最大の利点でしょう。 プレーヤーの他は、Bluetooth接続のイヤホン・ヘッドホン、またはスピーカーがあればそれで機材選びは完了です。
(2)シチュエーションを選ばず楽しめる
Bluetooth再生はワイヤレスですので、レコードプレーヤーから離れて楽しむことができます。 よって、音量など周りを気にすることなく、自分ひとりだけで音楽を楽しむことできるほか、例えば家事をしたりなど、移動しながらでも常にベストポジションで音楽を聴けることが挙げられます。
(3)プレーヤーにとって最適な音で楽しむことができる
Bluetoothタイプのプレーヤーは、ダイレクトにBluetooth接続機器へと音を届けることができるので、有線接続する場合よりも、プレーヤーの設計者が意図した音をそのまま楽しみやすいという部分もメリットといえます。 特に、フォノイコライザーアンプにプレーヤー内蔵ではなく外部機器を使ったり、別途、スピーカーを鳴らすためにアンプを用意すると、それらによって最終的な出音は大きく左右されますが、プレーヤーからダイレクトにBluetooth機器に繋がるため外部要素が少なく、プレーヤー本来の音作りをストレートに楽しむことができます。
一方で有線接続モデルの良さは以下の「2つ」と考えます。
(1)アナログ再生ならではのサウンドを自在に楽しめる
Bluetoothタイプは、デジタルのワイヤレス信号へと変換するまでを含めてアナログ領域での音作りが全てプレーヤー内で完結するので、開発者が意図した通りの音を手軽に楽しめる反面、あくまでBluetoothという伝送フォーマットの中での音質クオリティに留まるので、自分好みの音質を追求できる幅は限られます。 アナログレコードならではの音質を自在に楽しみたい場合は、有線接続が有利でしょう。
(2)音楽だけにじっくりと向き合える
レコード再生の大きな醍醐味として、敢えてスマートフォンなどから離れて、手間のかかる一連のレコード再生行為を通して、音楽とだけじっくりと向き合う時間を味わう、ということも大切な魅力だと私は考えています。 そう考えると、あえて手間のかかる点が有線接続のメリットと言えるでしょう。
以上のように、何を優先するか、何を大事にしたいかによって、Bluetooth接続か有線かを、またはその両方を使ってレコード再生を楽しむのかをチョイスすればよいでしょう。
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さぶろう先生ありがとうございます!
私は普段、Bluetoothスピーカーやイヤホンを使用しているので手軽に再生できるBluetoothが向いているのかなと思っていました。 先生の挙げたポイントにある、シチュエーションを選ばず使えるところもメリットです。 一方で、ハッとさせられたのは「音楽だけにじっくりと向き合える」という有線のポイント。 “あえてのひと手間” が音楽にどっぷり浸ることができる理由なのです。 そう考えるとどちらも甲乙つけがたい…もし2台買った暁には皆さんにご報告します。 笑
では!
Supervision:Saburo Ubukata
Words:SUKIKO.E
Illustrator:Tatsuya Hirayama
Direction:May Mochizuki