髪の毛よりも細い音溝を、小さな小さなレコード針がなぞっていく。そこから雄大な音楽が姿を現す。
そう想像するとなんともロマンティックなものに思えてくるレコード再生。
でも、その溝がゴミだらけだとしたら。
ゴミをはじき出しながら懸命に音楽を拾おうとしている小さな針。レコード針がゴミ掃除で忙しくては、ロマンティックどころではありません。
針が音楽に専念できるよう、ゴミは専門のメンテナンスツールに任せましょう。
しっかりしたゴミ対策で、レコード針に本来のお仕事を。
レコード盤は埃(ホコリ)が大好き。
レコード盤の材質は塩化ビニル(塩ビ)。弾力性と耐久性という両立しにくい性質をあわせ持ち、電線被膜や水道配管など、長年の安定性が求められる製品に様々に利用されています。
微細なプレス成型にも対応し、音楽を長期間安定して保存できる塩ビは、レコード盤の材料としても最適だったのです。
ただ、レコード盤としての弱点もあります。塩ビは静電気を持ちやすいことから、埃(ホコリ)を吸い寄せる性質があります。針が溝をなぞるレコード再生にとって、埃は大敵。
音溝に潜んだ埃が音楽を汚すことになれば、鑑賞気分も台無しです。
お互いが傷つく前に。
埃といっても、中には硬質な砂粒のようなものも混じっています。これが溝にゴロゴロ転がっているところをダイヤモンドの針が高速で突っ走っていく。
汚れたレコード盤に針を落とすというのは、レコードと針に凄絶なストレスを与えることなのです。
音溝をキレイにしておけば、レコードも針も傷つくことなく幸福な関係を続けることができる。
レコードと針の寿命を飛躍的に高め、長きに渡って音楽を美しく奏でてくれるのです。
音楽への集中度を高める儀式
CDでは、付着した埃はおろか、ちょっとした傷までその影響を補正して再生してくれます。その手軽さは手間のかかるレコード再生を圧倒しています。
でも、便利さの陰で失われていくものがあるのが世の常。
再生前のクリーニングのひと手間は、書道における「墨ずり」のようなもの。やがて始まる音楽を思い、心を澄みわたらせる時間にもなります。
毎回のちょっとしたクリーニングが、音楽の真髄をしっかり受けとめるためのいわば貴重な儀式になってゆくのです。
見える埃も、見えない汚れも。
再生前に埃をさっと拭き取る。これだけでも埃の堆積を少なくすることができます。柔らかい布なら何でもよさそうですが、やはり専用のメンテツールは一味違います。
レコード専用クリーナーAT6012aなら方向性のある起毛を持つベルベット地。細い音溝に溜まっている埃を効果的に掻き出すことができます。
レコードのメンテナンスに最適な専用クリーナー。クリーニング効果の高い方向性ベルベット採用。
乾燥時期の冬場など静電気が気になる時や、目に見えない汚れも気になりだしたら、AT6012aのもう一つの機能、湿式方式を活用しましょう。
注入口に専用のクリーニング液を注ぐだけで湿式クリーナーに早変わり。濡れティッシュで手指を拭った時のあのスッキリ感をレコード盤に再現できます。
メンテナンスする時間がもたらす豊かさ。
仕事に出かける朝。身支度を整えているうちに、気持ちがだんだんと前傾モードに入っていく、そんな集中度の高まりを感じることはありませんか?
面倒に思えるメンテナンスでも、それ自体に思わぬ効果・価値があるものです。
慈しむようにレコードに手をかける。すると、同じ音楽なのに違って聞こえたりする。
その時の心持ちでその表情を大きく変えるという面白さ。
なければ良しとは言えない、どこか豊かな価値を持っている。それがレコードメンテナンスなのです。
Words: Kikuchiyo KG