お出かけ時でもアナログレコードを楽しめる時代が来た!といっても、まさかレコード盤を持ち出すわけではありません。家で聴くあのアナログレコード音源を、カーオーディオやスマホに入れて楽しめる方法があるのです。いわば「アナログの持ち歩き」。
その方法とは、アナログレコードの音をパソコンでデジタル音源に変換すること。
少し前まで一部のマニアが苦労して行っていたのですが、最近はパソコンの性能が上がり、高音質なハイレゾ変換を想定した機材やソフトも充実して、作業の垣根が低くなっています。
ここではまずデジタル変換とは何か、次に変換するための機材や注意点を解説。
デジタル化の全体像をつかんで、あなたも「アナログの持ち歩き」にチャレンジ!
アナログをデジタル化するとこんな利点が
アナログレコードの音源をデジタルに変換すると、パソコンで使っているファイルと同様に音源を取り扱うことができます。保管スペースが不要になり、検索が容易でバックアップも可能。スマホなどのデジタル機器に取り込んで聴くこともできるなど、利便性が高まります。
アナログレコードのように再生する度に摩耗を気にする必要もありません。
音質を追求したいあなたなら、デジタル化の際にハイレゾ変換を選択すれば、元のアナログレコードの音質に限りなく近い状態でデジタル化を行うことができます。まさに、原音を持ち歩けるのがハイレゾ変換。
ハイレゾの魅力については以下を参照してください。
デジタル変換の音質を左右する「D/Aコンバーター」
アナログレコードから取り出した音源をパソコンに記録する。これが最も一般的なデジタル化の方法です。
アナログをデジタルに変換することをAD変換といいます。パソコン自体にAD変換の機能が備わっていますから、レコードの音を直接パソコンのマイク端子に入力させればデジタルで記録ができます。
しかし、パソコン内部はノイズの嵐。AD変換の際にノイズが混入し、音質が低下します。
高音質を求めるなら、パソコンとレコードプレーヤーの間でAD変換を行う「D/Aコンバーター」という機器を使いましょう。ここで生成した信号をパソコンに入力するのです。
この「D/Aコンバーター」の能力が、出来上がるデジタル音源の品質を左右します。
アナログレコードの音を余すことなく変換したいのであれば、ハイレゾ規格に対応している高品質のものを選びましょう。
レコードプレーヤーの出力形式をチェック
レコードプレーヤーの出力形式は通常「LINE出力」と昔ながらの「PHONO出力」があります。
LINE出力があるプレーヤーはD/Aコンバーターにそのまま接続できます。
LINE出力とPHONO出力切り替えができるベルトドライブ駆動の本格機
フォノイコライザーを搭載していないプレーヤーの場合は、以下のようなフォノイコライザーを介してD/Aコンバーターに接続します。
MM/MCカートリッジに対応する高音質フォノイコライザー
音声編集ソフトでデジタルファイルを作成
操作はパソコンにインストールした音声編集ソフトを使い、音楽をデジタルファイルにしていきます。ファイルになれば、スマホやミュージックプレーヤーなどに入れるのも造作なくできます。
音声編集ソフトはD/Aコンバーターに付属している場合もあります。Web検索するとフリーウェアのものから高機能な有名製品まで多種多様な音声編集ソフトが見つかります。
最初はフリーのものを気軽にいくつか試していきましょう。自分に合った使い勝手のいいものにきっと行き当たります。
音声編集ソフト選びのポイントは大きく二つ。
一つはハイレゾ規格に対応していること。対応していなくてもデジタル化はできますが、高音質なハイレゾを体験しておくことは無駄ではありません。
二つ目は、アナログレコードの曲間の無音部分を検知し、自動的にファイルを切り分けてくれる機能を持っていること。これがないと、カット編集にかなりの手間がかかります。
ハイレゾ再生するなら、対応する機器で聴くのがベスト
ハイレゾ音源をスマホで聴くには、スマホがハイレゾ再生に対応していなければなりません。イヤホンは、通常品でも音は聞こえますが、広帯域再生を可能にしたハイレゾ対応のものにすれば、ハイレゾならではの魅力を堪能できます。
ケーブルのないBluetoothイヤホンでは、圧縮オーディオ信号をハイレゾレベルで高解像度伝送できる機器で聴くと良いでしょう。
まとめ
昨夜聴いた音楽の感動。その余韻が残る朝の目覚め。忙しい朝の支度をしながら、「もう一度浸りたい」というほのかな思いが湧きあがる。
アナログを持ち出せるデジタル変換を活用すれば、退屈な朝の通勤も一気に様変わりします。
ハイレゾならアナログの優しく深い音色をそのままに。あなたの大切な一日をきっと穏やかにスタートさせてくれるでしょう。
Words:Kikuchiyo KG