平日の9時5時は、テキスタイル・ラグデザイナーとして会社勤務し、空いた時間はフリーランスのインテリアスタイリストとして部屋づくりの相談に乗るAnna Brettschneider。
「いまはZoom越しに理想の部屋や好きな色をカウンセリングして、自作のムードボードを元にアドバイスを行っているの」。
ミュージシャンのパートナーと2人で暮らすのは、ブルックリン最大の公園プロスペクトパークに程近いパークスロープ地区。
「明らかにミニマリストではないです」という部屋は、お気に入りのレコードやZINE、植物やアートに囲まれ賑やかだ。「仕事では常に色が中心にある」と話す彼女の部屋は、色もしかり、物も多い。
それでも統一感があるのは「バランスを考慮しながら、毎日少しずつ配置を変えているから。散らかっている感じにはしたくないものね。たまに一歩下がって客観視して、時間をかけて作り上げる」
おウチ時間を機に料理に凝り始めたこともあり、食関連の小物も増えた。リビングの棚には、好みのデザインのレストランメニューをコレクション。『One Ingredient Recipes』は1つの材料だけで料理を作るレシピ本。「ユーモア満載で奇妙な内容。こういう一風変わった物に興味をそそられちゃう」。『BREAD BOOK』はパンのレシピを載せたZINEだ。
リモートワークになってから特に、音楽は欠かせない。「アップビートな曲では仕事に集中できないから、もっぱらチルアウトな曲を聴いてる」
愛用するレコードプレーヤーは「針がいい」という理由で選んだ。レコードプレーヤーの真下に並ぶレコードコレクションはジャズが多い。
「古いジャズレコードを探すのが好き。ちょうど先週末に見つけた」のは、50年代に活躍したジャズシンガーBlossom Dearieの『My New Celebrity Is You』。ジャズミュージックはディナーパーティと相性が良く、夕食時にも良く流している。
「アナログ=フィジカル(物質的なもの)だと思ってる。私は何でも収集するのが好きだからZINEや雑誌、レシピやメニューを集めているんだよね。いまってSpotifyで音楽を聞けて便利だけど、フィジカルなものとして収集はできないじゃない?」。手で触れるものを好きなように集めて暮らすAnnaの自宅は、彩りも形も様々で生命力に溢れている。
Word: Yu Takamichi(HEAPS)
Photography: Kohei Kawashima